改めて高プロに反対

時計 サラリーマン

 5月17日、2件の過労死のニュースが報道された。

 

 テレビ朝日のプロデューサーが2015年2月に心不全で死亡していたというもの。三田労基署が同年に労災認定していたという。新聞報道によれば、2013年7月に狭心症を発症。発症前の時間外労働は70時間から130時間だったとのこと。「管理監督者」に当たるとして、残業代は支払われていなかったようである。

  

 もう一件は、IT企業に勤務する28歳の男性。2017年8月、くも膜下出血で死亡し、2018年4月、池袋労基署が労災認定した。裁量労働制であったとのことである。6月には、午前1時20分にSNSに「うおー!やっとしごとおわったー!!社会人になってから36時間ぶっ通しで働いたのはじめてやがな。」と投稿していたとのこと。

 28歳の若さでくも膜下出血など通常は考えにくい。相当厳しい業務であったことが伺える。

 

 2人とも、(合法であったかはともかく)時間外労働について労働時間に応じて賃金が支払われる制度になっていない。そのような制度の下で長時間労働による過労死がおこった。

 

 私も、固定残業、管理監督者などを理由に、実際に残業代が払われていない労働者が過労死、過労自殺した事案を担当した。

 時間外労働の割増賃金は、時間に応じて割増で時間外労働に対する賃金を支払うことで、使用者に残業を抑制させ、従業員の健康を守るところに制度の理由がある。この制度を緩めれば、長時間労働が行われる可能性が高まる。

 

 現在でも、固定残業代を払っているとして、実際には固定残業代を上回る時間外労働をしていても時間外労働の割増賃金を支払っていない事業場もある。

 労働基準法にいう管理監督者にあたらないのに、管理監督者であることをりゆうに時間外労働の割増賃金を支払っていない事業場もある。

 

 悪用されないような制度設計をすることも必要だ。

 

 現在、国会で審議されている「高度プロフェッショナル制度」は、「管理監督者」(そう言われている人のなかには実際は違法な運用の場合もある)、裁量労働制よりも、さらに時間外労働の規制が緩い。といううより、時間外労働の規制が及ばない。

 

 大切な命を危険にさらす高プロには反対だ。 

  

2018年 過労死110番

2018年の過労死110番の予告

 

2018年6月16日土曜日 午前10時から午後3時まで

に行います。

 

愛知の電話番号は後日お知らせします。

当日専用電話

 

0120

 

相談料無料。通話料無料。

 

過労死110番は、今年で30周年 31回目の110番です。

 

過労死、過労自殺、過労で病気になった方、過労で困っている方、ご相談ください。

 

 

「風は西から」

風は西から

 村山由佳さんの「風は西から」(幻冬舎)という小説を読みました。

 

 過労自死の小説があるということを、ネットのニュースで見ました。もともと新聞小説として連載されていたものとのこと。申し訳ないことに、村山由佳さんを存じ上げませんでした。2003年の直木賞作家。恋愛小説を書かれている方だそうです。

 

 過労自死の事件がどう小説になっているのか読んでみたいと思い購入しました。

 

 物語のすすめかた。物語の構成力。それに現実感をも立たせる描写。

 作家の力を感じました。

 

 この本の帯には次のように記載されています。

「大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、繁盛店の店長となって張り切っていたはずの健介が突然、自らの命を絶った。なぜ彼の辛さをわかってあげられなかったのかー恋人の千秋は悲しみにくれながらも、同じく息子の死の真相を知りたいと願う健介の両親と協力し、「労災」の認定を得るべく力を尽くす。…」

 

 健介さんが命を絶つのは、この本のちょうど真ん中あたり。そこまでの様子を克明に画いていく前半に読み応えのありました。

 

 過労自死が、小説になるほど社会に認知されることに、残念な思いもあります。

 

 けれども、このような小説が多くの人に読まれることにより、過労自死の問題を多くの人に知ってもらうことができるのであれば、良いことだと思います。

 

 

 

   

高プロに反対

 平成29年9月8日付で厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問のあった「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(以下「働き方改革推進法案要綱」又は「法律案要綱」)について、同年9月15日に労働政策審議会は「概ね妥当と認める」答申をした。

 

 ただし、労働条件分科会の報告においては、労働者代表委員から、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大と高度プロフェッショナル制度に対する反対意見が付された。

 この法律要綱案には、裁量労働制の範囲拡大と高度プロフェッショナル制度が含まれていた。

 裁量労働制の拡大については今回法案にもりこまれなかったが、高度プロフェッショナル制度は法案の中に盛り込まれた。

 

 そして、ついに平成30年4月これらが閣議決定された。

 高度プロフェッショナル制度の問題については、日本労働弁護団が、すでに詳細な意見書を発表している。

http://roudou-bengodan.org/wpRB/wp-content/uploads/2017/11/a5bd7381d07420555fc5d0c973133bd6.pdf

 

 高プロとは、導入要件が満たされると、対象労働者に対しては労働時間規制の 一部が適用除外となるため、1日8時間・週40時間の規制、休憩時間の 規制、時間外労働・休日・深夜も含めた割増賃金の規制など、全ての労働 時間規制が適用除外となる制度である。

 

  本来、労働時間規制および割増賃金は、長時間労働を抑制する目的を有し ている。その足枷が外れれば、際限なき長時間労働となってしまう。

 

 色々説明がなされているが、規制を外せばその労働者の中には絶対に長時間労働をする労働者が発生する。だからおかしな制度だし、そのような制度を導入してはならない。

 

 

 これについて、4月7日の各紙の社説が意見を述べている。

 

 中日新聞 東京新聞

「働き方法案 これでは過労死防げぬ」と題し、

「高プロは法案に盛り込まれた。野党から「スーパー裁量労働制」だと批判もでている。法案は国会論議を通し再考すべきだ。

 残業時間の上限規制など働く人を守る規制強化と、官邸主導で進めてきた規制緩和を同時に進めることは矛盾する。多くの人は仕事への強い責任感がある。そこにつけこんだような制度をつくり働かせていいはずがない。制度のありようは、働く人の命にかかわると政府は自覚すべきだ。」   

 と、明確に反対している。

 

 

 朝日新聞

「働き方改革 労働者保護に焦点絞れ」と題し、

「だが法案には、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度高プロ)」の新設も盛り込まれた。

 長時間労働を助長しかねないと、多くの懸念や不安の声がある制度だ。緊急性の高い政策と抱き合わせで拙速に進めることは許されない。切り離して、働き過ぎを防ぐ手立てや制度の悪用を防ぐ方策を、しっかり議論するべきである。政府・与党に再考を求める。」

 「野党は、働く人々を守る規制の強化に重点を置いた、働き方改革の対案を準備している。高プロを関連法案から切り離せば、与野党が歩み寄り、話し合う余地は生まれるはずである。

 だれのための働き方改革か。政府・与党はそのことを考えるべきだ。」

 朝日新聞も高プロには反対している。

 

  毎日新聞

「働き方改革を閣議決定 残業時間の規制が原点だ」と題している。

 その社説の中には、

「労働時間よりも独創性によって労働の価値が決まる仕事の場合は、高プロや裁量労働制について議論する意義はある。」

 と裁量労働制や高プロに「意議がある。」としてしまっている。これは残念である。

 日本労働弁護団は、高プロについて次のように指摘している。

「現在、多くの企業では、月額賃金がほぼ固定された月給制がとられており、 高度プロフェッショナル制度の適用を受けたとしても、それらの賃金制度が 変わる保障はない。一方、現行法上も成果型賃金制度や、労働者を所定労働 時間よりも早く帰して賃金減額をしない制度の導入は可能である。 あたかも高度プロフェッショナル制度の導入により成果型賃金制度が実現 できるかのような虚偽の宣伝・報道が繰り返されていることは極めて問題で ある。」

 労働時間より独創性によって労働の価値が決まる仕事があったとしても、高プロや裁量労働制でそのようなことを評価する賃金体系にはならない。そのことをこの社説は理解していない。 

 毎日新聞の社説も

 「しかし、現実には残業代を抑えるため、裁量労働を適用できない人に適用して長時間労働をさせることが横行している。」

 として、弊害があることは、認めている。しかし、高プロは、制度自体に問題がある。もっと明確に論じてほしい。

 

 

 読売新聞の社説(4月15日時点ではすでに公開されていない。)は、

 「働き方改革 国民の不信感払拭に努めよ」という表題で

 

 「新制度は、一定の職種について、賃金と労働時間を切り離し、成果で評価するものだ。仕事の多様化に対応し、効率的な働き方を促す狙いは、時宜にかなっている。」として、高プロを評価し、法案成立を求めている。表題にあるように、不信感だけが問題とされている。

 

 高プロの問題点を正確に伝えていない。

 

 

 

 日経新聞の社説は「 働き方改革法案を今国会で成立させよ」と題して、法案成立を求めている。

 

 この社説は、裁量労働制について「仕事の時間配分を本人にゆだねる裁量労働制の対象拡大が調査データ不備で先送りされたのは残念だが、法案が成立すれば、米欧に比べ見劣りする日本の生産性を高める効果は大きい。」としてる。

 

 また、高プロについて「野党は高度プロフェッショナル制度について「残業代ゼロ」制度と批判を強め、その創設を裁量労働制の対象拡大に続いて法案から削除するよう要求している。だが、生産性の向上を促す新制度を企業が使えなければ、日本の国際競争力が落ちる恐れがある。それでは従業員も不幸になる。政府は新制度創設を含めての法制化をあくまで貫くべきだ。」としている。

 

 しかし、現在法案となっている高プロは、対象労働者の年収要件が労働者の平均年間給与額 の3倍であり、およそ1075万円であると説明されている。この条件に当てはまる労働者がどれほどいるのか、それが国際競争力に影響があるほどの生産性を高める改革になるとはおもえない。

 

 つまり、日経は、いったん導入したあと、その適用範囲を広げ、残業を払わないで安価に働かせる労働力を確保して国際強労力をたかめるべきだと、そのようにはっきり意見を述べているのである。

 とても、賛成しがたい。  

 

 

 それぞれの 新聞社が、意見を明確にし、議論の材料を提供するのはよいことである。しかし前提となる事実を正確に報じてこそである。けっして多数の意見だから、与党の意見だからといって、法案が正しいわけではない。

 高プロは、裁量労働制よりもさらに長時間労働を招く危険な制度である。絶対に成立させるべきではない。

 

 

 

 

ノーモアヒバクシャ愛知訴訟 高裁で逆転勝訴 

 2018年3月7日、名古屋高裁民事第4部(8藤山雅行裁判長)はノーモア・ヒバクシャ愛知訴訟の長崎の原爆被爆者2名に逆転勝訴の判決を言い渡しました。

 

 ノーモア・ヒバクシャ訴訟は、被爆者援護法の原爆症であるとの認定を求めた4人の原告がいました。

 

 名古屋地方裁判所は、4人の原告がいずれも放射線に起因する病気であったと認めました。そして、そのうちの2名は、原爆症のもう一つの要件である医療の必要性も認め、被爆者援護法の対象と認めました。控訴した被爆者2人の申請疾病については、いずれも放射線起因性を認めながらも、要医療性について否定していました。

 2名は経過観察のために通院しているだけでは「医療」が必要だとはいえないとしたのです。

 

 名古屋高裁判決は、要医療性について、「被爆者援護法の「医療」は、積極的な治療を伴うか否かを問うべきではなく、被爆者が経過観察のために通院している場合であっても、認定に係る負傷または疾病が「現に医療を要する状態にある」と認めるのが相当である」としました。

 

 これは、被爆者を救済するという被爆者援護法の趣旨に合致した解釈であり、要医療性を狭くとらえている国の運用を厳しく批判したものです。

 

 原告のお二人は高齢です。この判決が上告されれば、さらに確定が遅れることになります。

 いま、支援の皆さんは上告するなの声を国に届けようと運動しています。

 

 よろしければご協力ください。

 https://drive.google.com/file/d/1d33BRUi1p1pjyFDFU5AT-y3IWI4z0mX8/view?usp=sharing

焼身自殺の闇と真相

 毎日放送の奥田雅治さんが本を書きました。

 

 「焼身自殺の闇と真相 市営バス運転手の公務災害認定の顛末」

 

 奥田さんは、現在は毎日放送の報道局次長兼番組部長。長年プロデューサーとしてドキュメンタリー制作に関わってきました。

 

 私も弁護団の一員である名古屋市バス事件を長年取材し、ドキュメンタリーをつくりました。「映像’16 追い詰められた”真実”~息子の焼身自殺と両親の9年~」でギャラクシー賞などを受賞しています。

 

 そのドキュメンタリーの内容を1冊の本にまとめられました。

 

 名古屋市バス事件は、2007年にご本人が自死されてから2016年に公務災害の認定訴訟が高裁で公務災害との判断が出て確定するまで9年間かかりました。

 

 私は、2013年に裁判をおこしてからの関わりですので、高裁判決までは、4年間の関わりです。

 しかし、奥田さんは、この事件がおきてまもなくから、9年間ずっと取材を続けてきました。公務災害申請、弁護団会議、法廷、この事件の初めから判決まですべてを知っています。ときには、自ら相手方当事者に取材し、真相を聞き出しています。審査会を担当した弁護士にも取材をしています。

 

 その顛末が本になっているのです。

 

 弁護士が、事件の内容を書いた本はあります。

 私は、藤本正弁護士(故人)の電通事件の経験を書いた

 

  ドキュメント「自殺過労死」裁判―24歳夏 アドマンの訣別 

 

 を何度も読みました。

 本当に引き込まれる裁判の記録です。 

  

 また、記者の方が、判決の後、事件を遡って取材し本を書かれることもあります。

 私の担当した事件も書いていただいたルポライターの斉藤貴男さんの

 

   「強いられる死 ---自殺者三万人超の実相」

 

 は裁判が終わった後に取材をうけて書かれた本でした。

 ほかにも過労死のことを取り上げた本はたくさんあります。

 

 けれども、この本は、これらと違います。

 

 事件が起きた当初から、高等裁判所で判決が出るまでのことを、すべて同時進行で取材をし、その内容を本にしているのです。圧倒的な取材の量を元にかかれているのです。

 

 そして、弁護士や、当事者が書くのではなく、ドキュメンタリー制作のプロが、感じたことを書いているので、第三者の視点で伝えられています。そのため、読み手に分かりやすく伝えています。

 

 遺族の山田さんのご夫妻が、この事件のときどきに、取材に答えて、あるいは支援者に向かって語っていた言葉。大切な言葉をきりとって、紹介しています。

 

 尊敬すべき大先輩の水野幹男弁護士の執念の弁護活動がリアルに描かれているところが。また、すばらしいです。

 

 私自身のつたない尋問の様子も収録されています。弁護団会議での思いつきで話していた内容まで収録されていて、気恥ずかしい限りです。

 

 こんな本は、これまでなかったし、これからも出せないのではないかと思います。是非、多くの人に読んでほしいと思います。

 

 

   

愛知県弁護士会「真の働き方改革」

 昨今,「ブラック企業」が珍しくないだけでなく、有名大企業においても若年労働者の過労死・過労自死が相次ぎ、政府からも「働き方改革」というスローガンが打ち出されるに至っています。しかし、政府の「働き方改革関連法案」の内実は、過労死を促進し、残業代はゼロとされ、労働者が定額で働かされ放題となる、労働法改悪に他なりません。

 

 他方で、長時間労働や過重労働は、個人の生活を犠牲にして辛うじて成り立っていることが多いところ、ワーク・ライフ・バランスを見直して個人の人生を充実させるための「生活時間」を取り戻そうという動きが民間から出始めています。

 

 そこで、政府の「働き方改革」を批判的に検討した上で、過重労働や過労死を生み出す構造的な原因を探りつつ、労働者一人一人が充実した人生を送れるようになるための真の「働き方改革」とはどうあるべきかについて、基調講演とパネルディスカッションを通じて考えます。

 

愛知県弁護士会の「真の働き方改革」 2018年2月24日 午後1時からです。

NHK記者の佐戸未和さんのご家族からのお話があります。

中村和雄弁護士 棗一郎弁護士のお話しもあります。

時宜にかなったタイムリーな企画。是非ご参加を。

新年のご挨拶

 あけまして おめでとうございます。

 

本年もよろしお願い申し上げます。

 

新年は、熱田教会の祈祷会ではじまりました。

写真は、熱田教会の会堂。そして、神宮西の駅の飾りです。

 

「希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい。」 ローマの信徒への手紙/ 12章 12節

熱田教会に与えられた2018年の聖句です。

 

 

過労死ゼロの社会を

 過労死ゼロの社会を 高橋まつりさんはなぜ亡くなったのか 高橋幸美、川人博 著 連合出版 を読みました。

 

 もうすぐクリスマスです。クリスマスには、毎年悲しい事件を思い出さなければなりません。高橋まつりさんは、2015年12月25日に自死しました。

 

 この本は、その2015年12月25日に自死した電通の高橋まつりさんのお母さんの高橋幸美さんと、高橋まつりさんの自死を過労自殺だとして労災申請をし、さらに電通との交渉を担当した川人博弁護士の共著の本です。

 

 内容は、高橋まつりさんの労働状況について分析した川人博弁護士の執筆部分。そして、高橋祭りさんの生まれてから亡くなるまでを記したお母さんの手記からなります。

 

 電通との合意に従って行われた電通における川人博弁護士の講演の内容が収録されています。

 

 高橋まつりさんの写真もたくさん収録していて、故人の様子が伝わってきます。幸せそうな写真、楽しそうな写真に、一人のかけがえのない人生がわずか24年で終わったことの無念さ、悲しさが伝わってきます。人の命のたいせつさが伝わってきます。

 

 川人弁護士執筆部分では、電通が、入退場の時間管理のシステムをもっていながら、その記録を労働時間と数えさせないというやり方行われていたこと。

 明らかな長時間労働であったことをだれも止めようとしないこと。

 電通におけるパワハラ、セクハラの実態。

 これらを詳しく指摘しています。

 

 電通が、労基法違反で起訴された刑事裁判の内容も紹介されています。

 高橋さんの事件の全てが書かれている本となっています。

 

 社会に出ようとしている若い人にも是非読んでほしいと思います。そして、会社や組織で人を使っている人にも是非読んで欲しい本です。

 

 過労死を取り扱っている弁護士としては、川人博弁護士がどのように調査をし、労災認定につなげていったのかという実務的な観点からも参考になりました。

 

 高橋まつりさんの短い生涯が、世の中のかわるきっかけとして活かされることを祈ります。

 

 

もしもあなたが大災害にあったら~災害時のトラブル解決~

紛争解決センター 20周年記念行事
紛争解決センター 20周年記念行事

 12月8日金曜日、愛知県弁護士会紛争解決センターは、20周年記念行事として、名古屋市ともともに、シンポジウムを行いました。

 

 もしもあなたが大災害にあったら~災害時のトラブル解決~

 

 災害が生じたときにも、弁護士会が話し合いのあっせんをし、トラブルを解決する方法について、市民の皆さんに紹介しました。

 

 シンポジウムでは名古屋市防災危機管理局地域防災室の加藤誠司室長から、名古屋市で大地震、水害があったときにいったいどのくらいの地域がとくに危険なのか。その際、どのような備えが必要なのか、詳細な説明がありました。名古屋城から熱田神宮までの熱田台地とよばれる台地があるが、その西側が特に危険であるが、東側には断層もあり、直下型地震の危険があるとのこと。じっくり聞いて、危険は日常から予想し、想定しておくことが必要だと感じました。

 

 私は、愛知県弁護士会の災害ADRの仕組みを紹介させていただきました。

 

 後半は、兵庫県弁護士会の津久井進む弁護士、仙台弁護士会の斉藤睦男弁護士、熊本県弁護士会の阪本秀德弁護士をパネリストとしてパネルディスカッションを行いました。

 

 改めて、阪神淡路大震災、東日本大震災、そして熊本地震のそれぞれの大地震の大きさ、被害の重大さを、写真、データ、エピソードをふまえて紹介してもらいました。食料が買えなくなくなる、コンビニに食料が入荷されてもすぐに売り切れになる。移動するのに大渋滞になる。ガソリンを入れるにも行列になる。避難生活の疲労。などなど、テレビで断片的な情報を見るだけは分からないことをお話しいただきました。体験した方に話を聞くことで、災害の被害の大きさを再認識させられました。

 

 そして、それぞれの地域の弁護士が、地震が来るとはおもわなかった.地震はいつでもどこでも起こるということを実感した、と話しました。愛知県は大きな地震が来ると言われています。しかし、そのことをもっともっとこころの備え、そして具体的な備えとして準備しておく必要があると感じました。

 

 東日本、熊本では、弁護士会が、震災によるトラブルについて解決する震災ADRをすぐに立ち上げ、多くの事件を解決してきたという経験が披露されました。弁護士は、復興のために建物も直せない、怪我も治せない、弁護士ができることは人と人との関係を復興させることができる、という言葉になるほどと思わされました。

 

 愛知県弁護士会は、民間の紛争解決手段である紛争解決センターを運用して多くの申立て実績を上げています。災害が発生したときにも市民の役に立つことができるように、充実した運営に努めたいとおもいます

花
当日に展示された花

2017年過労死等防止対策シンポジウム 愛知会場 開催

過労死等防止対策推進法 過労死等防止対策推進シンポジウム 愛知会場
2017年 過労死等防止対策推進シンポジウム 愛知会場

 2017年の過労死等防止対策推進シンポジウムは、2017年11月28日開催されました。

 

 今年は、はじめて平日開催でした。  国際センターホールは、ほぼ満席の185名の参加でした。

     私は、協力団体である過労死弁護団全国連絡会議の幹事として出席しました。

 

  冒頭、労働局の労働基準部長さんからの挨拶。 その後、名古屋過労死を考える家族の会の代表の内野博子さんの挨拶がありました。 内野さんの挨拶は、自分の夫の過労死のこと、過労死等防止対策推進法の法制定の経緯とこれから臨むことなどを訴えるものでした。

 

 過労死等防止対策白書について厚生労働省労働基準局総務課過労死等防止対策企画官佐藤靖夫さんから解説がありました。大変分かりやすく解説していただきました。

 

 そのあとは、山崎喜比古教授の講演。過労死等の原因となるストレスのモデルの説明を受けました。

 休憩をはさんで桂福車師匠の落語「エンマの願い」。

 悲しい過労死の実情や過労死等防止対策推進法の成立までいきさつを、笑いを交えて親しみやすくも分かりやすく語っていただけました。

 そして、過労死遺族の話。今回は、注文住宅建設会社の現場監督だった夫を亡くした大迫恵子さんが話されました。在職中の夫を亡くした本人や家族の悲しみ、苦しみを語られました。

 

 閉会の挨拶は今年も私がさせていただきました。今年の企画も終わりまで充実したものになりました。今回は平日ということで会社や役所の担当者等も来てくださっていたらありがたいと思いました。

 

 企画段階では、会社関係者などから防止の取組などのお話しをしてもらえたらと検討していたのですが実現できなかったのは残念です。

 このシンポジウムは、できるだけ幅広い立場の人が、一緒に過労死等防止について考えることができたらと思っています。

 

 過労死等防止対策推進シンポジウムも、自主開催の2014年、そして厚生労働省の主催で2015年、2016年、2017年と続けてきました。

 

 11月が過労死等防止啓発月間であるということが、定着したでしょうか。 大きな会社はもちろん中、小企業も本当の意味での働き方を改革してほしいと思います。

 

 ところで、過労死防止対策推進シンポジウムでも中心的にお手伝いいただいた名古屋過労死を考える家族の会のメンバーの方の名古屋高裁での判決が11月30日に言い渡されました。娘さんが、会社でパワーハラスメントにあって自殺した事案です。労災認定はされていました。 1審の名古屋地方裁判所はパワーハラスメントと自殺との因果関係を否定していました。名古屋高裁は、1審を覆し、パワーハラスメントと自殺との因果関係を認め、会社に損害賠償責任を認めました。私はこの裁判は担当していませんが本当に良かったと思います。  

 

 労災認定されている自殺事案では、労災認定されるほどの強いストレスを仕事によって受けていることが明らかになっているといえます。そのようなストレスの原因を作ったり、防止しなかった会社には安全配慮義務違反が認められる可能性が高いといえます。

 

弁護士岩井羊一 2017年 過労死等防止対策推進シンポジウム 愛知会場
閉会挨拶をする当職

第14回 国選弁護シンポジウム 横浜

国選弁護シンポジウム 日本弁護士連合会 横浜 神奈川県弁護士会
国選弁護シンポジウム会場の看板

 2017年11月17日、日本弁護士連合会 第14回国選弁護シンポジウムに参加した。

 

 ここでは、これまでの国選弁護制度の歴史と、そして今の課題について議論した。

 ここで報告された国選弁護の経過について、あらためて振り返りたい。

 

1 死刑4再審事件と「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である。」との指摘

 

 1979年,6月に財田川事件,9月に免田事件,12月に松山事件と3つの死刑事件の再審開始決定がされた。1983年12月に免田事件が無罪判決,1984年3月に財田川事件,1984年7月に松山事件の無罪判決がなされた。

 

 相次いで死刑事件の再審決定,無罪判決がなされた中,1985年,平野龍一博士は,「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である。」と述べた(「現行刑事訴訟の診断」(団藤古稀祝賀論文第4巻,有斐閣,1985年出版)。

 

 当時は、起訴されるまで、国選弁護人がつけられることがなく、弁護士を依頼しないまま取り調べが行われるのが通常だった。それがうその自白やえん罪の温床だと言われた。

 

 その後,1986年9月には島田事件の(死刑事件)の再審開始決定がされ,1989年に無罪判決がされた。

 

2 国選弁護シンポジウム,司法シンポジウム,そして松江の人権擁護大会

 

 島田事件の再審開始決定がなされた翌年、1987年第1回国選弁護シンポジウムが開催された。

 

 さらにその2年後、1989年9月の松江市の人権擁護大会において,日弁連派「当連合会は国民の人権擁護という弁護士の基本的責務を果たすべく,国民とともに,叡智を結集し,現在の刑事手続を抜本的に見直し,刑事弁護の一層の充実強化をはかるための機構を設置するなど,あるべき刑事手続の実現に向けて全力をあげてとりくむものである。」と宣言した。

 

3 日弁連刑事弁護センターの発足

 

 1990年4月に日弁連は,日弁連刑事弁護センターを発足させた。同センターの重点課題の第1として起訴前の弁護体制の強化が確認された。具体的にはイギリスの当番弁護士制度に学び,日本でも創設しようというものであった。そして,全国の可能な地域でこれを実現していこうというものであった。

 

4 当番弁護士制度の発足

 

 1990年,大分県弁護士会,福岡県弁護士会で始まった当番弁護士制度は,燎原の火のごとく瞬く間に全国に広がり,1992年には,全国52の全ての弁護士会で実施されるに至った。  

 

5 司法制度改革審議会の意見書

 

 司法制度改革審議会は,2001年6月の最終意見書において「被疑者に対する公的弁護制度を導入し,被疑者段階と被告人段階を通じ一貫した弁護体制を整備すべきである。」と明記した。

 

6 司法制度改革推進本部公的弁護制度検討会

 

 この意見を受けて同年12月,内閣に司法制度改革推進本部が設置され,被疑者段階も含む公的弁護制度の具体化に向けた審議が開始された。

 

 勾留段階から,段階的に被疑者国選弁護制度が実施されることとなった。

 2004年6月には,刑訴法が改正され,被疑者段階も含む国選弁護制度が創設されることとなった。

 

7 被疑者国選弁護制度の段階的実施

 

 2006年10月には,短期1年以上の法定合議事件等(第一段階)で,被疑者国選弁護制度が実施された。

 2009年5月には,対象事件がいわゆる必要的弁護事件(第二段階)にまで拡大された。

 

8 勾留された全ての被疑者を対象とする国選弁護制度

 

 2011年,法制審議会に新時代の刑事司法制度特別部会が設置された。この部会は2014年7月の部会案において勾留された全ての被疑者を対象とする国選弁護制度が取りまとめ,同年9月には,法制審議会が,この内容を法務大臣に答申をした。

 2016年6月,刑訴法が改正され,国選弁護制度の対象が,全ての勾留事件に拡大されることになった。2018年6月までに施行されることとなった。

 

 えん罪が明らかに「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である。」といわれた刑事司法について、私たちの先輩弁護士が当番弁護士制度をつくり、そして、勾留されたすべての被疑者について、2018年6月までには、国選弁護人がつけられる制度が完成することになったのである。

 

 今回、国選弁護シンポジウムでは、逮捕段階についても国選弁護人がつけられる制度を求めて、さらなる弁護実践の展開と、制度についての議論をした。

 

 私は、実行委員としてこのシンポジウムの実行委員会に参加して準備をした。

 

 弁護士になったときには被疑者国選制度があった世代の弁護士にも刑事司法の変化をしり、ぜひさらなる発展にむけて一緒に活動したい。

 

横浜 インターコンチネンタルホテル 国選弁護シンポジウム会場
会場だったインターコンチネンタルホテル

過労死等防止対策推進シンポ 岐阜 2017


 2017年11月13日、過労死等防止対策推進シンポシンポジウム 岐阜会場 が行われました。

 岐阜では、

 

  労働局 労働基準部 監督課の佐藤健二課長のご挨拶

  岐阜市で自殺をした公園整備課長の配偶者であった伊藤左紀子さんの報告

  この自殺を受けた岐阜市の取組を、岐阜市の杉原太課長の報告

  私の、地方自治体の過労死防止の取組として豊川市の例の報告

  医師櫻沢博文氏の「職場のメンタルヘルス対策」講演

  過労死遺族の吉田典子さんのお話し「私の陽介はどうして死んでしまったの?」

 

 が行われた。

 約110人の参加で盛況でした。

 平日の昼間という時間帯であったがこれほど多くの方が集まったところにこの問題の関心の高さが伺えました。

 

 岐阜市の過労死等防止に関する取組については、岐阜市がホームページで公開しています。

http://www.city.gifu.lg.jp/31020.htm

 

 そこには、「平成29年7月、元市職員の自死が、強い精神的負荷に起因する公務災害と認定されたことを受け、二度とこのような事案が発生しないよう市をあげて再発防止に取り組んでいきます。」との記載があり、過労死等防止の取組が職員の自死について、公務災害と認定されたことが契機であることが明記されています。

 

 そして、「特に元職員の命日(11月26日)を含む後半の2週間を「岐阜市過労死等防止強化週間」と位置付け、様々な取組を実施」とわざわざ記載して取組をすることとしています。


 

 

  岐阜の報告があった後、私から、その前の豊川市の過労死等防止対策の取組について紹介しました。

 

 豊川市はパワーハラスメント防止対策についてホームページで公開しています。

http://www.city.toyokawa.lg.jp/shisei/jinnjishokuinsaiyo/kenshu/komugaisaigai.html

 そこでは、「平成24年2月22日に、元市職員に係る公務外災害認定処分取消請求事件について、最高裁判所は、地方公務員災害補償基金側の上告を棄却し、難度が高くトラブルが発生していた公務の状況と上司によるパワーハラスメントの心理的負荷に起因する公務災害と認めた名古屋高裁判決が確定しました。
 この判決を受けまして、豊川市としてパワーハラスメント再発防止の取組を下記のとおり実施しています。」

 と記載されています。

 

   豊川市は、この内容を当時広報誌にも掲載して市民に公開しています。

 「とよかわ」2012年6月版

 

 櫻澤博文先生のお話は、メンタルヘルスの対策について幅広くお話しでした。

 

 櫻澤博文先生は、合同会社バラゴンの代表者です。

 メンタルにならない様に、なったときにどうすれば良いか。分かり易く説明がありました。

  合同会社バラゴンのホームページ

 

 そして、吉田典子さんのお話。

 お母さんの悲しみが良く伝わってきました。

 司会の方が泣いておられました。

 

 

 参加者は約110名

 昨年より着実に増加しています。

 多くの方が過労死等のこと。過労死を考える家族の会のことを知ってもらいたいともいます。

 愛知では11月28日午後1時半から開催しました。

 

 

ハインリッヒの法則

過労死 パワハラ たくさんの指示 ストレス

 ハインリッヒの法則について次のような記載がありました。

 

「アメリカのハインリッヒ氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれる。これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽症の事故と,300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則。また、その背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいたともいう。つまり、事故の背景には必ず多くの前触れがあるということ。(以下略)」(出典:ナビゲート)

 

 「事故の発生に関する経験則。1件の重大事故の背後に、29件の軽微な事故があり、さらに300件の事故につながりかねない、いわゆる「ヒヤリ・ハット」の事象があるとするもの。交通事故、航空事故、医療事故などの分野で,同種の経験則に基づく安全対策が行われている。1929年、米国の損害保険会社のハーバート=ハインリッヒが提唱。」(出典:デジタル大辞泉)

 

 ここでいう労災事故は、例えば機械に巻き込まれて重症を負ったなど事故のことだと考えられます。過労死、過労自殺などについては、軽症の事故、傷害に至らない事故を数えることが難しく、1:29:300なのかどうか実際に分からないと思います。また、そのような研究もなされていないと思います。

 

 しかし、一件の過労死、過労自殺の背景には、多くの長時間労働をしている労働者、パワハラ等のハラスメントを受けて、死に至らないけれども体調を崩したり,体調までは崩さないけれども、大変な思いをしている労働者がいると考えることはできそうです。そして、その背後には、長時間労働、厳しい指導があり、過労死ラインをこす危険がある職場があるということもいえるはずです。

 

 そうだとすれば、いわゆる過労死ラインに至らないような時間外労働や、パワハラとはっきり言えない指導についても、事業主は、問題が大きくならないように、解決しておく必要があるといえます。

 

 現実は、労働については、法律の規制をまもっていれば問題にならない。そこまでは、企業の効率化のためになんとか時間外労働をさせたい、厳しく指導させたいというのが実態のように思えます。

 

 ヒヤリ・ハットの防止をする対策のために長時間労働をしているのであれば、本末転倒です。

 

 長時間労働、パワーハラスメントのほか配転などの仕事の変わり目、休日労働がつづいて休みのない連続勤務等を漫然と行わせることが、過労死、過労自殺の危険に変わりうることを各企業が認めて、対策をして欲しいと思います。

 

 11月は、過労死等防止対策推進法で定められた啓発月間です。職場の状況を見直すことで過労死、過労自殺の防止を考えてほしいと思います。

平成29年版過労死等防止対策白書

 平成29年版の過労死等防止対策白書が発表されました。

 

 過労死等防止対策推進法(議員立法により平成26年成立・施行)に基づき、国会に報告を行う法定白書です。

 

 今回が2回目の閣議決定及び国会報告になります。

 

 

 

 過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)

(年次報告)

 第6条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために 講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 

 過労死等防止対策白書のポイントは次のように説明されています。

 

「過労死等防止対策白書」のポイント

 

 

 

1.「労働時間を正確に把握すること」が「残業時間の減少」に繋がるとする分析や、過労死等が多く発生していると指摘のある自動車運転従事者や外食産業を重点業種とする分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果を報告。

 

 

2.「『過労死等ゼロ』緊急対策」(平成281226日「長時間労働削減推進本部」決定)や「働き方改革実行計画」(平成29328日「働き方改革実現会議」決定)など、昨年度の取組を中心とした施策の状況について詳細に記載。

 

3.過労死等防止対策に取り組む企業、民間団体、国、地方公共団体の活動をコラムとして紹介。 

とあります。

「過労死等防止対策白書」は、厚生労働省ホームページの下記URLからダウンロードできます。 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

 

 

今年も過労死防止対策推進シンポジウム

日時:

 

平成29年11月28日(火)
13:30~16:20(受付13:00~)

 

会場:

 

名古屋国際センター 別棟ホール
(名古屋市中村区那古野一丁目47番1号)

 

定員:

200名

アクセス:

 

・名古屋駅から東へ徒歩7分
・地下鉄桜通線「国際センター」駅下車すぐ
・市バス「国際センター」下車すぐ

 

 今年も厚生労働省主催の過労死等防止対策シンポジウムが行われます。

    今年のプログラムは以下の通りです。

 

[過労死等防止対策白書の説明] 厚生労働省
[講演]
「保健予防福祉学の立場から」 山崎 喜比古 氏(日本福祉大学教授)
[過労死問題をテーマにした落語]
「エンマの願い」 桂 福車

桂 福車
【プロフィール】
1961年生まれ、大阪出身。大阪府立清水谷高校卒。1983年に22歳で桂福団治に入門。古典落語はもとより社会派落語では上方落語界きっての巧者。

[過労死遺族の声]

 

 

今年の愛知会場の特徴

平日開催

 

 今回は、企業の人事関係の担当者、役職者の方に仕事として過労死防止について話を聞いてもらいたいということで平日開催にしました。

 是非、いままでこんなテーマで話を聞いたことがないという方にもお話しをしていただけたらと思います。

 

 

厚生労働省からの白書の説明

 

 厚生労働省の担当者がわざわざ来てくださいます。霞が関での現場で把握している過労死等の実情について説明が受けられます。

 

 

山崎喜比古教授の講演

 

 山崎喜比古教授は、1999年、精神障害の判断指針がつくられたときの専門検討会の委員でした。この判断指針ができてから、精神障害が労災として一般的に認められるようになったのです。保健予防福祉学の立場から貴重なお話が聞けると思います。

 

桂福車師匠の落語

 

 仕事できて平日の午後から落語?とお思いの方もいらっしゃるかも知れません。

 私も、いままで2回聞いたことがありますが、思いっきり笑えます。でも、過労死の家族のことをよく知ってもらっているので、最後は本当に泣けます。過労死で本当に何が問題なのかすっと聞けます。

 笑工房のホームページもご覧ください。

 

過労死家族の話

 

 集まった全てのかたに、家族を過労死で亡くされた家族の話を是非聞いて欲しいと思います。

 どんな思いでいるのか、そこがないと、なくそうという動きがどうしても鈍くなってしまいます。辛いことですが、是非聞いて欲しいと思います。

 

 愛知会場のシンポジウム、是非、多くの方に参加して欲しいです。

 参加は、予約制です。(当日も可能だと思いますが、是非、予め予約をして欲しいと思います。)

 プロセスユニニークさんのホームページでどうぞ。

 

 

 

 

今年も開催しました。親子でロースクール

 2017年も、日進市と愛知学院大学法務支援センターとのコラボ(提案型大学連携協働事業)で、愛知学院大学法務支援センターの模擬法廷などをつかい、「親子でロースクール」を開催しました。

 日進市のホームページ

 愛知学院大学のホームページ

 

 参加していただいた方、ありがとうございました。

 今回もNHK制作の昔話法廷の映像みてもらい、討論しました。

 

 今回の題材は、「白雪姫」。 「被告人は王妃。白雪姫に毒リンゴを食べさせ殺害しようとした罪に問われている。しかし、王妃は犯行を全面否定!王妃は白雪姫を殺そうとしたのか?それとも無実か?」(NHKのホームページの紹介記事より)

 

 よく知っている白雪姫。でも証拠はこの法廷で調べた証拠だけ。予断は許されません。

 そして、刑事裁判の鉄則は「疑わしきは被告人の利益に」。

 

 この原則で考えてみると。

 

 「親子でロースクール」なので、親グループは大人だけで討論しました。小学生の子どもたちは子ども達だけで討論しました。

 討論の司会をするのは、法科大学院の教授、そして法科大学院出身の現役の弁護士。

 なかなか豪華な企画です。

 

 私も当日、議論を見させていただいて、また、時には議論に加わってお話ししました。

 人って本当にそれまでの経験や考え方に個性があります。同じお話しをみても、こんなふうに違う見方をするんだ、というところと、やっぱりみんなそう考えるよね、ということがあって、参考になりました。

 

 もちろん、自分の意見を整理して述べて議論するということはとても大切なことです。

 

 いま、刑事事件の法廷では裁判員裁判が行われています。

 市民が、裁判に関わるのはとても大切なことだと思います。それは、私たちの社会を私たちが関わってどうするか考えることに繋がるからです。

 

 参加していただいた方が、少しでも刑事裁判を知るきっかけになればと思いました。

 

心理的負荷による精神障害の認定基準(基発1226第1号 平成23年12月26 日)「第5 精神障害の悪化の業務起因性」の改定を求める意見書

  過労死弁護団全国連絡会議は、2017年7月11日、厚生労働省あてに、認定基準の,精神障害の悪化の業務起因性の改定を求める意見書を提出しました。(過労死110番 ホームページ参照)  

 

 この意見書は、 現在の認定基準が「特別な出来事」に該当する出来事がなければ、対象疾病が悪化し た場合に業務上の疾病とは扱われないことになっていることについて、「特別な出来事」に該当する出来事がない場合には、一切業務起因性が否定されるのは不合理であるとして改定を求めるものです。

 

 この意見書は、アピコ関連事件・名古屋地裁平成27年11月18日判決、これを不服として国が控訴した同事件・名古屋高等裁判所平成28年12月1日判決をもとにしています。  

 

 いずれも当職らが原告代理人として関わった訴訟です。

 

 国は、上記高裁判決に上告受理申立をしませんでした。  

 厚生労働省は、速やかに認定基準を改定し、認定の在り方を考えなおすべきです。

 

 以下全文を掲載します。


 

意見書

 

厚生労働大臣 塩 崎 恭 久 殿

 

                   過労死弁護団全国連絡会議

 

                    代表幹事 弁護士  岡 村 親 宜

 

                       代表幹事  同   水 野 幹 男

 

                  代表幹事  同   松 丸   正 

 

                    幹事長   同   川 人   博 

 

 平成29年7月11日

 

 

 

 心理的負荷による精神障害の認定基準(基発1226第1号 平成23年12月26 日)「第5 精神障害の悪化の業務起因性」の改定を求める意見書を、下記のとおり、提出する。

 

                  記

 

第1 意見の趣旨

 

  心理的負荷による精神障害の認定基準(基発1226第1号 平成23年12月26日)(以下「認定基準」という。)「第5」につき、

 

 「精神障害の悪化の業務起因性」を認める要件として、「特別の出来事」を要するとしている内容を改め、精神障害の悪化前に業務による強い心理的負荷が認められれば、悪化につき業務起因性を認めることとするよう、改正を求める。

 

第2 意見の理由

 

1 現在の認定基準が不合理であり、憲法、法律の趣旨に反する

 

  現在の認定基準は「特別な出来事」に該当する出来事がなければ、対象疾病が悪化した場合に業務上の疾病とは扱われないことになっている。

 

  しかし、労災認定で問題になっている事案では、「特別な出来事」に該当する出来事がない場合でも、発病について業務起因性が認められるような強い心理的負荷を受け、その結果精神障害が悪化した場合もある。発病したら業務上と認定できるほどの強い心理的負荷があって、精神疾患が悪化した場合に、発病した後であったからといって業務起因性が否定されるのは不合理である。

 

  そもそも、現行の精神障害に関する労災認定基準が、一方で、精神障害を発病していない労働者に対して、「強」の業務上心理的負荷が加わって精神障害が発病した場合には、業務起因性を肯定し労災保険金を給付するとしながら、他方で、精神障害を発病している労働者に対して、同様の「強」の業務上の心理的負荷が加わって精神障害が悪化した場合には、業務起因性を否定し労災保険金を給付しないとしていることは、憲法14条1項、憲法27条、及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第7条の趣旨に反している。

 

  すなわち、憲法第14条1項は、すべて国民は、法の下に平等であって、社会的身分等により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない旨規定している。上記認定基準の上記該当部分は、精神障害を有することを理由にして、労災保険給付という経済的・社会的関係において、差別を行うことを意味しており、憲法の同条項に違反する内容となっている。

 

  また、憲法27条1項は、「すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負ふ」と定めている。豊橋労基署長(マツヤデンキ事件)・名古屋高裁平成22年4月16日判決は、「労働に従事する労働者は必ずしも平均的な労働能力を有しているわけではなく、身体に障害を抱えている労働者もいるわけであるから、仮に、被控訴人の主張が、身体障害者である労働者が遭遇する災害についての業務起因性の判断の基準においても、常に平均的労働者が基準となるというものであれば、その主張は相当とはいえない。このことは、憲法27条1項が『すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負ふ。』と定め、国が身体障害者雇用促進法等により身体障害者の就労を積極的に援助し、企業もその協力を求められている時代にあっては一層明らかというべきである。」と判示し、身体障害者について本人を基準に業務過重性の判断をすると明示した。この判決は、労働に従事する労働者は必ずしも平均的な労働能力を有しているわけでないから、これを考慮しない労災の認定基準は憲法27条1項の趣旨に照らして相当でない旨判示しているのである。 労働者の中には「精神障害を発病している労働者」もいるのであるから、その者に平均的労働者であれば精神疾患を発病するような「強」の業務上の心理的負荷が加わった場合にも業務上と認めず、労災給付金を給付しないのであれば、このような者が労災補償を受けることができないことを前提に勤務しなければならず、憲法27条1項に照らして問題である。

 

  さらに、憲法27条2項は、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」と規定し、労働条件について法律で基準を設定することを要請している。「精神障害を発病している労働者」にほとんど労災の給付をしないというのであれば、勤労条件の法定を定めた憲法27条2項の趣旨にも違反する。

 

  さらに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第7条は、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」と規定している。同条の趣旨からすれば、障害者の範囲は幅広く解すべきであり、上記認定基準の上記該当部分は、この法律の趣旨にも違反している。

 

  このように現行認定基準が、精神障害の悪化の業務起因性が認められる場合を「特別な出来事」があった場合にのみ限定し、「強」の心理的負荷が認められても、精神障害の悪化の業務起因性を否定することは、憲法14条1項、憲法27条、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の趣旨に違反するものである。

 

2 現在の認定基準には合理性がない、という判決が確定していること

 

  アピコ関連事件・名古屋地裁平成27年11月18日判決は、「前記認定基準によれ ば、健常者であれば、(「特別な出来事」以外の)精神障害の発症及びそれによる死亡の危険性が認められるような心理的負荷の強度が「強」と認められる出来事があった場合には、業務起因性が認められることになるのに対し、既に精神障害を発症している者については、発症後、死亡前6か月の間に同様の心理的負荷が生じる出来事があっても、既に精神障害を発症しているという一事をもって業務起因性は否定されることになる。しかし、このような判断が精神科医等の専門家の間で広く受け入れられている医学的知見であるとは認められず(甲B38の1・5~9頁(引用者注:判決が引用している 証拠は第5回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会議事録の後半部分である。)、既に精神障害を発症している者に、健常者でさえ精神障害を発症するような心理的負荷の強度が「強」と認められる出来事があった場合であっても、『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定するということには合理性がないというべきである。」と判示し、認定基準を批判している。

 

  これを不服として国が控訴した同事件・名古屋高等裁判所平成28年12月1日判決は、「認定基準は、上記別表(認定基準の別表1〔業務による心理的負荷表〕)に掲げられ客観化された各出来事のうち『特別な出来事』に該当する出来事がない場合でも(略)その心理的負荷の評価が『強』と判断される場合を, 労働者に生じた精神障害を業務上の疾病として扱う要件の一つとしている(証拠)。そうすると、その心理的負荷の評価が『強』と判断される業務上の『具体的出来事』(略)は、労働者の個体側要因である脆弱性の程度にかかわらず、平均的な労働者にとって、業務による強い『心理的負荷』であり、精神障害を発病させる危険性を有すると認められるのであるから, 既にうつ病を発病した労働者にとっても、当該『具体的出来事』自体の心理的負荷は『強』と判断されるはずである。」「認定基準が、健常者において精神障害を発病するような心理的負荷の強度が『強』と認められる場合であっても、『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定することを意味するのであれば、このような医学的知見が精神科医等の専門家の間で広く受け入れられていると認められないことは、補正して引用した原判決が説示するとおりであり、上記のような疑問あるいは『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定することは相当ではないとの考え方は、認定基準の策定に際しての専門検討会での議論の趣旨にも合致すると解される。」と判示し、同様に専門検討会の議論を踏まえて認定基準を批判している。

 

  ちなみに、同名古屋高裁判決理由では、2人の国側精神科医の意見(うつ病悪化事案では脆弱性が強いから健常者と同様に評価することはできない等)との意見を、明確に排斥している。

 

  この判決に対し、国は上告、上告受理申立をせず、確定している。認定基準の「特別 な出来事」がなければ業務起因性を否定するという判断の基準が不合理であることは明白である。

 

3 「特別な出来事」がなければ業務起因性を否定することは相当ではないとの考え方は、専門検討会での議論の趣旨に合致すること

 

  精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会の第5回の検討会(平成23年4月1 4日開催)において、岡崎座長は「今日のところは発病後にも心理的な負荷が非常に強い、ないしは極度の出来事があった場合には業務上であると認めるということでは、先生方のご意見は大体一致したのではないかと思います。」として、発病の際に認定に必 要な非常に強い心理的負荷、ないしは極度の出来事があった場合には業務起因性を認めてよいと議論をまとめている。

 

  名古屋地裁平成27年11月18日判決が、上記のように認定基準について「このような判断が精神科医等の専門家の間で広く受け入れられている医学的知見であるとは認められず」としたのは、第5回の専門検討会の議事録のこの部分を指摘している。名古 屋高裁平成28年12月1日判決は、「上記のような疑問あるいは『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定することは相当ではないとの考え方は、認定基準の策 定に際しての専門検討会での議論の趣旨にも合致すると解される。」として、「特別な出来事」がなければ業務起因性を否定することが相当ではないことは、専門検討会の議論と合致すると指摘しているのもこの部分の指摘を示している。

 

  専門検討会においてなされた議論を踏まえれば、「特別な出来事」がなければ業務起 因性を否定するような認定基準は不合理である。上記判決はそのことを指摘しているのであり早急に改正が求められている。

 

 

 

第3 結論

 

 国は、上記名古屋高裁判決に対し、上告、上告受理申立をしなかったのであり、この内容に即して、直ちに認定基準を改正すべきである。

 

 なお、本論点を含め、精神障害・自殺に関する認定基準全般について、当弁護団は、平成21年11月18日付意見書(「判断指針」から現行「認定基準」に変わる前の段階)に貴省に対して意見書を提出しているので、それらも参照されたい。

 

以上

 

名古屋高裁でも岐阜市の職員の自死を公務災害と認める。

裁判所
名古屋地方裁判所,高等裁判所の正面

 名古屋高等裁判所民事第1部(永野圧彦裁判長)は、2017年7月6日、岐阜市の職員が、2007年11月に自死したことについて、公務災害であったと認める判決をしました。

 

 職員の配偶者の方が、この自死について、公務災害だとして、地方公務員災害補償基金岐阜県支部に公務災害として認定するように請求していました。しかし、地方公務員災害補償基金岐阜県支部は、これを公務災害と認めませんでした。

 

 公務災害として認められない場合、遺族は、基金支部審査会に、審査請求という不服の申立ができます。しかし、支部審査会も公務災害と認めませんでした。

 

 そこで、職員の配偶者の方は、再審査請求をするとともに、行政訴訟を提起したのです。

 (現在は、このあたりの手続きの法律が少し変わっています。)

 

 1審の岐阜地方裁判所は2016年12月22日、地方公務員災害補償基金岐阜県支部の公務外認定の処分を取り消す判決をしました。→詳しくはそのときのブログを参照して下さい。

 これは、地方公務員災害補償基金の決定を取り消すもので、この判決が確定すると、地方公務員災害補償基金は、法律上、公務災害だと認定しなければならなくなります。

 

 ところが、基金は、名古屋高等裁判所に控訴しました。そこでこの日の判決となったのです。

 

 名古屋高等裁判所は、1回目の期日で結審し、2017年7月6日の判決期日を指定しました。

 原判決が12月22日ですから、約半年で判決。いわゆる過労自死の事案で、検討する事項はそれなりにあるものですから、この高裁判決はスピード判決といえます。 

 

 私は、この事件に、審査請求の時から関わらせていただきました。関わりをもったのが、2012年頃ですから、それからも5年が経過しました。

 

 この判決は、威圧的な上司の態度、その当時にいくつもあったストレスの多い仕事の内容、出来事について、原告の主張を認めて、総合的に強いストレスがあったとして、自死が公務に起因すると結論づけました。

 仕事の内容は、1審判決よりさらに詳しく認定し、公務災害の認定については、基金の認定基準にあてはめても、公務災害になることを丁寧に判断しています。

 1審判決にまして、事実関係を精査すれば、明らかに公務災害である、と内容を、1審原告の主張に沿って付け加えています。このように厳しく指摘されるのであれば、基金は控訴しない法が良かったと思わせる内容ではなかったかと思いました。

 

 一方、事実の評価は、逆に控えめに評価しています。基金の認定基準は、その基準自体とても厳しく、相当に強いストレスがないと公務災害と認めないことになっています。判決は、事実を丁寧に評価した上で、この厳しい認定基準を適用しても、公務災害と認定できるとしています。

 

 判決は、基金に対し、あなたたちの基準で判断しても公務災害なんだから、もう上告などせずに、早く公務災害と認めて遺族に支払をしなさい。そう言っているように感じました。

 

 この判決を得るまでに10年という期間がかかり、1審原告は、本当に苦労されたと思います。

 

 日本の裁判は、3審制になっていますが、最高裁へ上告するには、要件が定まっています。憲法違反とか、重大な法律解釈の誤りなど、法律の解釈が問題になる場合です。

 

 今回の判決は、事実の評価を適切にしたというものであり、法律解釈の問題ではありません。

 

 1審被告の地方公務員災害補償基金は争うことをやめて、早く公務災害認定の手続きに入って欲しいと思います。

 

    ※7月20日の経過をもって、上記高裁判決は確定しました。【2017年7月21日追記】

 

 

 

 

平成28年度過労死等の労災認定件数発表

 2017年6月30日、平成28年度の過労死等の労災補償状況が厚生労働省から発表されました。

 厚生労働省の発表を見ていきます。

 まずは脳・心臓疾患について、以下引用します。

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1  脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

 

(1) 請求件数は825件で、前年度比30件の増となった。 P 3 表1-1】

 

(2) 支給決定件数は260 件で前年度比9件の増となり、 うち死亡件数も前年度比11件増の107件であった。 P 3 表1-1】

 

(3) 業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」212件、「卸売業,小売業」106件、「製造業」101件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」97件、「製造業」41件、「卸売業,小売業」29件の順に多い。   P 4 表1-2】

 

業種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業,郵便業」のうち「道路貨物運送業」145件、89件が最多。 P5 表1-2-1、P6 表1-2-2】

 

(4) 職種別(大分類)では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」187件、「販売従事者」97件、「サービス職業従事者」93件の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」90件、「専門的・技術的職業従事者」30件、「生産工程従事者」27件の順に多い。  P 7 表1-3】

 

職種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」178件、89件が最多。 【P8 表1-3-1、P9 表1-3-2】

 

 

 

(5) 年齢別では、請求件数は「5059歳」266件、「4049歳」239件、「60歳以上」220件の順で多く、支給決定件数は「5059歳」99件、「4049歳」90件、「3039歳」34件の順に多い。 【P10 表1-4】

 

(6) 時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」106件で最も多く、「100時間以上」の合計件数は128件であった。 【P13 表1-6】

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 支給決定数とは、要するに、労基署が過労死等と認めた件数です。

 支給数、死亡支給数とも減っていません。

 運送業、特に運転手が大変だということがわかります。

 それから、長時間労働で病気になっている人がたくさんいることが分かります。

 

 次に精神障害についてみていきます。

 

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2  精神障害に関する事案の労災補償状況

 

(1) 請求件数は1,586件で前年度比71件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比1件減の198件であった。【P15 表2-1】

 

(2) 支給決定件数は498 件で前年度比26件の増となり、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件減の84件であった。【 P15  表2-1            

 

(3) 業種別( 大分類)では、請求件数は 「医療,福祉」302件、「製造業」279件、「卸売業,小売業」220件の順に多く、支給決定件数は「製造業」91件、「医療,福祉」80件、「卸売業,小売業」57件の順に多い。【 P16  表2-2

 

業種別(中分類)では、 請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の 「医療,福祉」のうち 「社会保険・社会福祉・介護事業」167件、46件が最多。 P17 表2-2-1、P18 表2-2-2】

 

(4) 職種別(大分類)では、請求件数は 「専門的・技術的職業従事者」361 「事務従事者」307件、 「販売従事者」220件の順に多く、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」115件、「事務従事者」81件、「サービス職業従事者」64件の順に多い。 【P19 表2-3】

 

職種別(中分類)では 、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」198件、47件が最多。 P20 表2-3-1、P21 表2-3-2】

 

(5) 年齢別では、請求件数は「4049歳」542件、「3039歳」408件、「5059歳」295件、支給決定件数は「4049歳」144件、「3039歳」136件、「2029歳」107件の順に多い。【P22 表2-4】

 

(6) 時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は、「20時間未満」が84件で最も多く、「160時間以上」が52件であった。 【P24 表2-6】

 

(7) 出来事(※)別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」74件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」63件の順に多い。

 

 

 

※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの P26 表2-8】

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  請求件数がさらに増えています。

  自殺の件数は減りましたが全体の認定件数は増えています。

 

  専門的・技術的職業従事者が多いのが特徴です。

  

  時間外労働ですが「20時間未満」が最も多いのが印象的です。

  出来事別の支給決定件数は、ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた が多くなっています。

  つまり長時間労働よりもパワハラで精神障害になっている場合が多いようです。

  

  一方で160時間以上も52件あり、2番目に多いのも驚きです。

 

 

  裁量労働の件数も発表されました。問題アリと言うことがわかります。

  一方で、これだけ?という印象を持ちました。

  時間管理がなされていれば、もっと多くの認定がなされるのではないでしょか。

 

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3 裁量労働制対象者に係る支給決定件数

(1) 過去6年間で裁量労働制対象者に係る脳・心臓疾患の支給決定件数は22件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が21件、企画業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が1件であった。 【P27 表3】

 

(2) 過去6年間で裁量労働制対象者に係る精神障害の支給決定件数は39件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が37件、企画業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が2件であった。 【P27 表3】

 

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 過労死等防止対策推進法が施行されて4年目です。まだこれからということでしょう。

 まずは労災補償されるべきものを労災補償していくなかで、一つづつ対策をしていくことだと思います。

  今まで、発覚していなかったものが発覚しただけで、世の中は確実に進んでいると信じたいものです。

過労死110番 実施できました

 今日は、全国過労死110番を実施しました。

 愛知では、13件の相談がありました。

 

 感想です。

 

 こんなに世の中で、長時間労働が問題になっている、と思っていましたが、長時間労働は、まだまだたくさんあるのだなあ、と思いました。

 

 また、労働基準法が十分に守られていない状況にあることも実感しました。

 労働契約法も十分理解されていない状況にあることも実感しました。

 

 そして、辛いけど、訴えられない、状況にある人がいることも実感しました。

 

 今回、相談しくても、情報に接することができなかった人もいたと思います。

 

 一方で、今裁判で戦っている人についてのマスコミの報道によって、勇気づけられて、自分も立ち上がろうともがいている人がいることもわかりました。

 

 苦しんでいる人、悩んでいる人、今日の電話相談は終わりました。でも面談相談は、いつでも受け付けています。

 

 

過労死110番実施します

2017年6月17日土曜日           10:00~15:00

過労死110番

0120-184-964


弁護士が電話で相談にのります

当日は、過労死の事件の経験のある弁護士が電話で相談にのります。

過労死・過労自殺、働き過ぎの相談にものります。

過労死、過労自殺された方の遺族の補償についての相談を受け付けます。

ご自身、ご家族の過重労働の相談も受け付けます。

相談は無料です。通話料も無料です。携帯からもOK

相談料はかかりません。また、フリーダイヤルですから通話料も無料。携帯電話からもかけることができます。その場合も無料です。


専門家「基準の見直しを」

 本日朝日新聞名古屋版に「労災却下6割超す」「専門家「基準の見直しを」」という表題で精神疾患の労災認定基準についての記事が掲載されました。

 残念ながら名古屋版であり、地域限定ですが、大きな記事になりました。

 

 私のコメントも以下のように掲載されています。

「国の基準の具体例に当てはまらないと、認定されずに切り捨てられる。ストレスには色々あり、対人関係に強いが長時間労働には弱いなど様々だ。より柔軟な評価方法に見直すべきだ。」

 

 認定基準は平成23年に改定されましたが、まだまだ不合理なところがたくさんあります。しかし、平成11年の判断指針よりも分かりやすく、また幅広く改訂されたせいか、裁判所でも、この基準をそのままあてはめるような判決があります。

 

 しかし、人間の心にも個性があり、ある人のには辛いストレスが、他の人にはそれほどではないことはいくらでもあります。それを、切り捨ててしまっていいのでしょうか。

 

 最もこれを乗り越えるには、医学的な根拠や世論の力がいります。

 

 今日は、NHKあさイチでも「大丈夫?家族から見た“働き方”」と題して働き方について議論をしていました。

 過労死弁護団の川人博弁護士と全国過労死を考える家族の会から寺西笑子さんも出演しました。

 新聞やテレビでもこのままではいけないという意識が高まっています。

 救済されていない事例もたくさんあることを知ってもらい、改善にむけて動きがあるといいと期待しています。

 

 

勝利報告集会

新美南吉 安城市
安城市のオブジェ

 5月28日、安城市内で、担当している事件の報告集会がありました。

 過労死事件で、名古屋高等裁判所で1審を取消、労災と認められた事案でした。

 1審敗訴のあとの逆転勝訴でした。

 原告本人、ご家族、亡くなったご本人のご両親。

 亡くなったご本人は帰ってきませんが、無くなった原因が労働にあると裁判所に認定してもらったことは本当に良かったです。

 

 集会を通して、ご本人はどういう状況だったのか。なぜ、過労死だと思ったのか。どのような証拠があったのか。

 なぜ、1審は敗訴だったのか。どうして高裁では勝訴だったのか。振り返って話をしました。

 

 もともと水野幹男弁護士が担当していた事案で、私も裁判から応援に入りました。

 原告の依頼に応えて良い結果を出し、感謝してもらえる。弁護士をやって良かったと思える瞬間でした。

 

 多くの方が支援する会を作って支援してくれました。多くの人と喜び合えるのもうれしいものです。

 

憲法記念日

 今日は、憲法記念日。憲法施行70年です。

 今日から中日新聞の連載で憲法施行70年の特集が始まりました。

 1回目は、マンション建築現場で逮捕された方のことが取り上げられました。

 

 記事にはこうありました。

 

 「「市民の味方」と信じていた警察が必ずしもそうではないと、…」

 

 野党側は、共謀罪により「米軍基地移設や原発再稼働といった政治的な運動が監視され、萎縮させられる危険性を指摘する。」

 

 警察がどう動くかというのは、担当する警察官、或いは警察の考え方できまるようなところがあります。

 そのために権力を縛るためにあるのが憲法。

 

 その権力に濫用の力を与える「共謀罪」は危険です。

 

 これからも憲法に守られるよう、微力ながら考えていきたいです。