私の事案は、裁判をしたら勝てますか。


分かりません。でも一緒に考えていきませんか。

 

 相談者の方に「私の事案は、裁判をしたら勝てますか。勝てそうなら依頼したいと思います。負けそうならやめておきます。」と相談されることがあります。

 

 ところが、これは、なかなか難しいことなのです。というのは、持ってこられた資料や、相談者の方のお話を聞く限り「勝てそう」な事案であっても、交渉や裁判で相手方から提出される証拠や主張によって、「勝てそう」な見通しが変わってくることも少なくないのです。

 

 逆に、これはなかなか難しい、という事案でも、その後の調査によって、有利な証拠が集まる可能性もないとはいえないのです。実際に、困難なだと思われる事案でも、その後依頼者の方が集めてきた情報を裁判で証拠として活かすことができ、法的主張が裁判所に認められ、勝訴判決を得た事案もあります。

 

 また、勝ち負けではなく、話し合いにより、譲り合って解決に至ることが良い事案もあります。

 高等裁判所や最高裁判所で判断が覆る事案もあります。裁判官によっても判断が分かれる事案もあるのです。

 

 弁護士職務基本規程第29条には次のような定めがあります。

1 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2  弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3  弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。

 

 2項では、依頼者に有利な結果となることを請け負うことで、期待した依頼者の方に逆にご迷惑がかかることを禁止し、逆に3項では見込みがないのに事件をお引き受けして弁護士が「お金儲け」をすることを、禁止しています。

 

 しかし、弁護士も、全ての情報に接することなく相談者、依頼者に説明しなければならないところに、この規程を守る難しさもあるのです。そういう歯切れの悪い説明をすると、結局、どうしていいか分からない、あの弁護士は頼りにならないと思われるかも知れません。けれども、相談者の相談される事案の多くは、相手のあること。ことばは悪いのですが「やってみなければ分からない。」という部分も多いこともご理解いただければと思います。

 

 私は、「依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない」という規程を守り、相談者、依頼者の方と一緒に「勝てそうかどうか」考えていけたらいいと思っています。