当番弁護士とは、1回、無料で逮捕、勾留された被疑者に面会に行く制度です。大分、福岡の弁護士会が始め、1992年、全国の弁護士会が、この制度を実施しました。
当時、国選弁護人をつけられるのは起訴されてからでした。
逮捕され、勾留された被疑者は、最大23日、弁護士に相談できないまま、取調をうけていることがほとんどでした。
そのために、やっていないのに、やったという自白をさせられてしまうこともありました。
そこで、弁護士会が、1回は無料で面会をし、その後も、必要な人には無料で弁護人になる制度を創りました。当番弁護士を担当する弁護士が接見に行く日当、交通費は、弁護士会から払ってもらえます。この費用は、弁護士会が会員からはらってもらう会費で支えることにしたのです。
いまでは、逮捕され、さらに勾留された場合には、国選弁護人を付する制度になっています。これも全国の弁護士が、当番弁護士制度をつくり、活動をしたことも大きく影響しました。
けれども、逮捕されてから勾留されるまでの最大72時間の間は、今も、国選弁護人の制度がありません。
当番弁護士制度を知らない人は、勾留されるときに裁判官に国選弁護制度をおしえてもらい、それで初めて弁護士に依頼をしている、というのが実態です。
当番弁護士制度は、法律上の制度ではありません。逮捕直後は、法律上は、被疑者の人が、弁護士を依頼する私選弁護制度しかないのです。
いま、日本弁護士連合会では、逮捕された直後から、国選弁護人を依頼する制度が法律で定められるように運動をしています。
それまでの間も、お金がなくても、弁護士の知り合いがいなくても、弁護士会が当番弁護士を派遣して弁護をする制度があります。是非、知ってもらいたいです。
逮捕されたらすぐに弁護士を呼んでほしいと思います。逮捕した警察官に、当番弁護士を呼んで欲しい、そう言うだけです。
当番弁護士は法律上の制度ではないので、警察官に説明する義務がありませんん。警察官が説明する、弁護士を依頼する権利がある、というだけとなっています。(弁護士会は、当番弁護士の制度も説明して欲しいと申し入れていますが、実現できていません。)
私も当番弁護士に登録し、面会に行くこともあります。
また、現在日弁連国選弁護本部に所属し、逮捕段階から公的弁護制度を創るために検討、運動もしています。
冒頭の動画は、市民にもっと当番弁護士を知ってもらうために、日本弁護士連合会で作成した動画です。
なるほどと思われたら是非広めて下さい。