うつ病の悪化 認定基準を満たさない場合も労災と認定

発症後の悪化したばあいに労災認定をした事例 名古屋地方裁判所平成27年11月18日判決(労判1133号16頁) 名古屋高等裁判所平成28年12月1日判決(労判1161号78頁)

 

1 事案の概要

 

 本件は、原告がその夫(A)の自殺について、岐阜県内にある会社における過重な業務に基因するものであるとして岐阜労働基準監督署長に遺族補償給付、葬祭料の支給を請求したが、不支給処分をうけたため、各不支給処分の取り消しを求めた事案である。

 

 事案の概要は以下の通りである。

 Aが亡くなったのは2010年3月。当時34歳であった。

Aは、現場の清掃員としてスーパーマーケットなどの店舗の清掃業務を担当していた。ところが2006年のリーマンショックにより、店舗の清掃業務の受注が減少した。そのため他関連会社を経営した経営陣は、自車で清掃を行う業者向けに清掃用品の販売をする業務に移行することが重要と考え、岐阜県内に関連会社を設立した。

 

 Aは、関連会社に移籍し、2009年4月から営業業務に従事することになった。2009年6月頃から関東方面の営業担当になった。しかし、Aは期待されたような売上はあげられなかった。

 Aは、2009年8月頃うつ病を発症したと考えられる症状があった。ただ、自殺に至るまで病院の受診はなかった。

 

 その後、2009年10月には、会社の東京事務所が設立されAの東京への出張回数は2009年10月以降増加した。Aは同月以降も売上げをあげることができなかった。

 Aは2009年1月頃、取引先に誤って低い見積額を提示してクレームを受け、上記から厳しく叱責を受けるということがあった。

 

 Aは2009年12月から2010年1月にかけて短期間連続して交通事故を起こしていた。また、2009年12月頃、周囲から体臭や服装の乱れを注意されていた。

 Aは、2010 年2月ころ売上げを上げることができなかったことから一旦営業の担当を外すことが告げられた。

 Aの死亡前3か月における時間外労働時間数は、死亡の3か月前が月83時間、死亡の2か月前が月68時間30分、死亡の1か月前は108時間であった。

 被災者は2010年3月、練炭を使って自殺した。

 

2 争点  

 

 Aの精神か通院歴なかったが、Aの周囲への言動などからうつ病の発症は、2009年8月頃であることは争いがなかった。

 そこで発症についての業務起因性がまず問題になった。出来事の内容、心理的負荷の強度はそれぞれ争いがあった。Aの業務の負荷が大きくなったのも、Aの病的様子がより顕著になっていったのも発症後であることから、発症後のうつ病の増悪に業務起因性が認められるのかが最も重要な争点となった。

 

3 うつ病の発症についての業務起因性について

 

 判決は、うつ病の発症については次のように述べて業務起因性を否定した。 「Aが平成21年8月頃にうつ病を発症する以前における業務上の心理的負荷としては、認定基準の別表1における心理的負荷の強度が「強」にやや接近する「中」に該当する出来事が1つ、「中」に該当する出来事が1つ、「弱」に該当する出来事が1つあるものの「強」に該当する出来事があったとは認められない。」「…上記各出来事を全体的に見ても、その心理的負荷が「強」に至るものであったことまでは認められない。」「そうするとTが平成21年8月にうつ病を発症したことに、業務起因性があるとは認められない。」  但し、判決は「もっとも、Tは、業務上で相当程度の心理的負荷を受けていたもので、Aのうつ病の発症が業務による心理的負荷が影響していることは明らかであるから、Aのうつ病が業務と全く無関係に発症した死病と同様に扱うことは相当でなく、この点は、Aのうつ病の増悪に関して検討する際にも考慮すべき事項である。」と判示した。

 

4 うつ病の増悪と自殺についての業務起因性

 

(1)問題の所在

 

 2011年の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(基発1226第1号)は、精神障害が悪化した場合、原則としてその悪化について業務起因性は認められない、としつつ、「ただし、別表1の「特別な出来事」に該当する出来事があり、その後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合については、その「特別な出来事」による心理的負荷が悪化の原因 であると推認し、悪化した部分について、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱う。」としている。  

 

 そこで、このような「特別な出来事」に該当するような出来事があったといえるのか。そのような出来事がない場合にも業務起因性を認める余地があるのかが問題になる。

 

(2)名古屋地方裁判所の判決の内容 

 

    判決は認定基準の考え方について「…前記認定基準によれば、健常者であれば(「特別な出来事」以外の)精神障害の発症及びそれによる死亡の危険が認められるような心理的負荷の強度が「強」と認められる出来事があった場合には、業務起因性が認められることになるのに対し、既に精神障害を発症している者については、発症後、死亡前6か月の間に同様の心理的負荷が生じる出来事があっても、既に精神障害を発症しているという一事をもって業務起因性を否定されることになる。しかし、このような判断が精神科医の専門家の間で広く受け入れられている医学的知見と認められず(証拠[i])、既に精神障害を発症している者に、健常者でさえ精神障害を発症するような心理的負荷の強度が「強」と認められる出来事があった場合であっても、「特別な出来事」がなければ一律に業務起因性を否定するということには合理性がないというべきである。」と判示した。

 

   そこで「以下Aがうつ病を発症した平成21年8月頃から死亡前の平成22年2月頃までの間に出来事を総合考慮して、Aがうつ病を増悪し、これにより自殺を図り死んだことについて、業務起因性が認められるか否かを判断する。」との規範を示して、本件について検討している。

 

 そして判決は、うつ病を発症する前の事情も含めた一連の出来事を指摘し、「Aに生じた上記一連の出来事による心理的負荷は同種の平均的労働者にとっても、一般に精神障害を発症して死亡に至らせる程度の危険性を有するものであったといえるところ(なお、平成21年8月頃から平成22年2月頃までの間のAの業務よる心理的負荷の強度として、前記(略)のとおり、少なくとも「中」に当たる出来事が複数あり、また、前記(略)のとおり、平成21年12月以降、Aの労働時間は増加傾向にあり、死亡直前の1か月(平成22年2月)におけるTの時間外労働時間数は100時間を超えていることが認められる。上記各出来事は認定基準における「具体的出来事の心理的負荷の強度が労働時間を加味せずに「中」程度と評価される場合であって、出来事の後に恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められる場合」に該当するもので、その心理的負荷の強度の総合評価は、認定基準に照らしても「強」となるものである。)、…(中略)…Aの業務よる心理的負荷とAのうつ病の増悪により自殺を図り死亡したこととの間に相当因果関係を認めるのが相当である。」と判示した。  

 

   認定基準によれば「強」となる心理的負荷がある場合のような「同種の平均的労働者にとっても、一般的に精神障害を発症して死亡に至らせる程度の危険性」を有する心理的負荷 があった場合にも業務起因性を認めることができることを明確に判示している。

 

 さらに判決は「被告がうつ病が増悪することで自殺の危険性が高まるとの医学的知見はない旨主張し、提出する証拠[ii]には、うつ病の症状と自殺との関連性について、うつ病を含む精神障害の増悪の結果、自殺に至るとの見解は正しくないとする医学的知見、ICD-10の軽症、中等症、重症うつ病に進むに従って、自殺念慮が生じ、自殺率も高まるとは言えない臨床結果が存在する旨の記載がある。」として被告の主張を取り上げた上で、次のように判示してこれを退けた。「証拠[iii]によれば、不安、焦燥(優位)型うつ病では、極期こそ自殺の危険が最も高いという医学的知見があり、他の精神障害と比較すると、うつ病では、その重症度と自殺の危険性がある程度の相関が認められるとの臨床結果などもあり、かかる医学的知見及び臨床結果に照らすと、うつ病が増悪したことで自殺の危険性が高まり、自殺に至るという経過も十分にあり得るといえるところ、うつ病の発症後に従事した業務が客観的に過重であった場合には、過重な業務の継続により、うつ病が増悪し、正常な認識、行為選択能力及び抑制力が著しく阻害されるに至った結果、自殺したものとして、業務とうつ病の増悪及び自殺との相当因果関係を認められる場合が存在するといえるのであって、被告の上記主張は採用できない。」

 

(3)本判決の意義  

 

   認定基準が策定される前の判断指針によって判断されていたときには、労働基準監督署の認定行政では、精神疾患の発症後の精神疾患の増悪は一切考慮されなかった。2011年12月発出の認定基準により、発症後の増悪についても業務起因性が認められる場合があることが認められたが「特別の出来事」の存在が必要とされ、結局認定基準においては精神疾患の発症後の増悪について業務起因性が認められることは極めてまれである。  

    認定基準発出前にもうつ病の増悪と自殺の関係を認めた判決があった[iv]。発症後の心理的負荷を評価しない判断指針は強く批判されてきた[v]

 

  認定基準発出後に増悪が問題となった事例として、国・天満労基署長(明正病院)事件(大阪地裁2014年1月15日判決・労判1093号・57頁)、国・八王子労基署長(東和フードサービス事件)(東京地裁2014年9月27日判決・労判1105号21頁)がある。これらは、いずれも、増悪のために必要とされる心理的負荷の強度を認定基準と同じように「特別な出来事」が必要であるとした判決のように解される。しかし、これらの事案は、本件のように発症と同程度の心理的負荷の程度で足りると解しても結論は変わらないと考えられる。

 

 これに対し本件は、認定基準のいう「特別の出来事」がない場合にもうつ病の増悪による自殺と業務との間に相当因果関係を認めることができる場合があることを正面から認めた判決であるところに意義がある。



[i]原告から提出した厚生労働省ホームページにある第5回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会議事録を引用している。

[ii]「過労自殺」を巡る精神医学上の問題に係る見解 H18年12月20日 日本産業精神保健学会「精神疾患と業務関連性に関する検討委員会」

[iii] 「気分障害治療ガイドライン第2版」監修:精神医学講座担当者会議 編集:上島 国利/樋口 輝彦/野村 総一郎201頁~209頁、現代日本におけるうつ病の自殺とその予防・加藤敏・2005」『精神神経学雑誌』107(10): 1069-77

[iv]豊田労基署長(トヨタ自動車)事件・名古屋地裁平成13年6月18日判決(労判814号64頁)、玉野労基署長(三井造船玉野事業所)事件・岡山地裁平成17年7月12日判決(労判901号31頁)名古屋南労基署長(中部電力)事件・名古屋地裁平成18年5月17日判決(労働判例918号14頁・国・八王子労基署長(パシフィックコンサルタンツ)事件・東京地裁平成19年5月24日判決(労働判例945号5頁)、国・中央労基署長(日本トランスシティ)事件・名古屋地裁平成21年5月28日判決(労働判例1003号74頁)、地公災基金愛知県支部長(A市職員事件・うつ病自殺)事件(名古屋高裁平成22年5月21日判決・労判1013号102頁)、国・名古屋西労基署長(ジェイフォン)事件・名古屋地裁平成23年12月14日判決(労働判例1045号42頁)等

[v]精神障害・自殺の労災認定に関する意見書2004年11月22日 過労死弁護団全国連絡会議http://karoshi.jp/katudo1.html、精神障害・自殺判断指針改定意見書2009年11月18日 過労死弁護団全国連絡会議http://karoshi.jp/katudo5.html

 

 5 控訴審

 

 上記のように、1審判決[1]は、Aが平成21年8月頃にうつ病を発症したことに業務起因性は認められないとしたものの、Aのうつ病は質的にも量的にも過重な労働に従事する中で増悪し、Aの心理的負荷は、同種労働者にとっても精神障害を発病して死亡に至らせる危険なものであったといえるから、Aの業務による心理的負荷とAのうつ病の増悪により自殺を図り死亡したこととの間に相当因果関係を認めるのが相当であとし、Aの自殺による死亡は業務起因性が認められるとして、本件不支給処分を取り消した[2]。これに対し、被告国が控訴した。

 

6 控訴審での国の主張

 

 控訴審では、国は以下の主張を展開した。

 

⑴ 平成21年8月ころに発病したAのうつ病は、平成22年2月頃までの間、その自然的経過の範囲内で経過していたに過ぎず、同月頃に悪化(増悪)したとの原判決は誤りである。

 

⑵ Aがうつ病を発病した平成21年8月以降の心理的負荷の強さ及び個体側要因に係る事実認定及び評価は誤りである。

 

⑶  精神障害の悪化に係る業務起因性に関する原判決の判断枠組みは誤りである。既に発症した精神障害の悪化に業務起因性が認められるためには、「特別な出来事」を要件とした認定基準は合理的であり、これと異なる判断枠組みを採用した原判決は誤りである。

 

  国は、Aの病状を争い、心理的負荷の強さなどの事実関係も争い、認定基準に当てはまらない心理的負荷により精神疾患の発症後に悪化(増悪)した場合にも業務起因性を認めた原判決の業務起因性の評価の枠組みも争った。

 

7 控訴審での国の立証

 

 国は、上記⑴⑵の立証を補充するために、1審で証拠調べをした会社側証人全員を含む多数の証人についてあらためて労働局が聞きとりを行い、聴取書を提出した。また、⑵の心理的負荷の強度の評価、⑶の認定基準の評価についての立証をするために、専門検討会の委員であった精神科医師の黒木宣夫医師、荒井稔医師の意見書、さらに精神科医の渡邊衡一郎医師の意見書の3通の医師の意見書を提出した。

 

8 控訴審判決

 

 控訴審の判決は控訴棄却であった。

    国は上告、上告受理申立をせず、判決は12月15日の経過により確定した。判決内容は、控訴審での国の主張を全て退けるものであり、とりわけ黒木医師の意見を詳しく説明しながら否定する説得的なものであった。

 

9 控訴審判決の内容

 

    控訴審判決は、Aのうつ病は自然的経過の範囲を超えて悪化(増悪)したものと認められると判断した。 また控訴審判決は、Aに認められた心理的負荷の強度の総合評価が認定基準に照らしても「強」となると判断した。 以上を踏まえて、控訴審判決は、次のように判示した。

 

 「心理的負荷の評価が『強』と判断される業務上の『具体的出来事』は、労働者の個体側面要因である脆弱性の程度にかかわらず、平均的な労働者にとって、業務による『強い心理的負荷』であり、精神障害を発病させる危険性を有すると認められるのであるから、既にうつ病を発病した労働者にとっても、当該『具体的出来事』自体の心理的負荷は『強』と判断されるはずである。」

 

「確かに、精神障害を発病していない者に比較して精神障害を発病している者の個体的要因は大きくなることが認められる、業務における『強い心理的負荷』に遭遇した場合に、それが悪化の有力原因であると医学的に断定できないとしても、個体的要因との比較において、直ちに、かつ、一律に個体が要因の方が相対的に有力であるとの結論を導くことができるかについては疑問があるといわなければならない。業務における『強い心理的負荷』も、健常者を精神障害の発病に至らせるだけの強い起因性を有する事情だからである。その意味では、精神障害を発病している者であっても、少なくとも『特別な出来事』があれば、これを悪化の原因であると推認することができるという点では、迅速かつ公平な業務上外の審査を行うために策定された認定基準としての意義があるが、逆に、認定基準が、健常者において精神障害を発病するような心理的負荷の強度が『強』と認められる場合であっても、『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定することを意味するのであれば、このような医学的知見が精神科医等の専門家の間で広く受け入れられていると認められないことは、補正して引用した原判決が説示するとおりであり、上記のような疑問あるいは『特別な出来事』がなければ一律に業務起因性を否定することは相当ではないとの考え方は、認定基準の策定に際しての専門検討会での議論の趣旨にも合致すると解される。しかし、既に精神障害を発病(専ら業務外の心理的負荷により発病した場合を含む)している者が、業務において、健常者を精神障害に至らせるだけの『強い心理的負荷』に遭遇し、既に発病していた精神障害が悪化した場合に、原則として業務に内在する危険の現実化(業務起因性がある。)と捉え、相当因果関係があるとまでいえるかは議論の余地があり、当該業務上の心理的負荷の程度、業務外の心理的負荷の有無・程度、個体側の要因等を総合的に検討して、相当因果関係の有無を判断するのが相当と考えられる。」

 

   正面から精神疾患の悪化について認定基準にいう「特別な出来事」に当てはまらない強い心理的負荷があった場合にも総合的に検討することにより相当因果関係を認めている点で極めて正当な判断である。

 

10 控訴審判決の意義

 

   本判決は、うつ病の悪化(増悪)について「特別な出来事」がなければ労災認定しないという認定基準に当てはまらなくても業務起因性を認めることができることを正面から認めた判決である。これまでも、うつ病の発症に業務起因性が認められ、かつ増悪についても業務起因性を認める裁判例は多く存在した。しかし、うつ病の発症について業務起因性が認められないが増悪について「特別な出来事」がなくても業務起因性を認めた判決はなかった[9]。地裁に続いて、高裁でもこの判断が維持され確定したのであり、本判決の先例性は高い。 この高裁判決を足がかりに、この点における認定基準を変更させることができればと考える。(担当弁護士 岩井羊一 田巻紘子 伊藤麻衣子)

 

   控訴審判決の全文は裁判所ホームページ

 

[1] 国・岐阜労基署長(アピコ関連会社)事件(名古屋地裁2015年11月18日判決・労判1133号16頁)

[2] 1審判決の評価については拙稿、季刊紙 労働者の権利:315号(2016年7月発行)「精神疾患の憎悪と自殺について業務起因性を認めた判決 -国・岐阜労基(アピコ関連会社)事件名古屋地方裁判所2015年11月18日判決(労判1133号16頁)-」参照

[3] 精神障害・自殺の労災認定に関する意見書 2004年11月22日 過労死弁護団全国連絡会議(過労死110番全国ネットワークホームページ)

[4] 「過労自殺」を巡る精神医学上の問題に関する見解 日本産業精神保健学会「精神疾患と業務起因性に関する検討委員会」 産業精神保健 15(1):45-55 2007 (インターネットでも検索することができる。http://mhl.or.jp/kenkai.pdf)

[5] 「うつ病の本態と療法」クレイネス 大原健士郎 岩井寛 共訳 昭和42年 光文堂

[6] ICD-10精神および行動の障害には、重症うつ病エピソードについて「重症な症例では際だって自殺の危険が大きい。」との記載がある(132頁)。その他証拠として提出した文献には、「気分障害治療ガイドライン第2版」(上島国利他編 2010年 医学書院)、「現代日本におけるうつ病の自殺とその予防」(加藤敏 精神経誌 2005 107巻10号)、「職場結合性うつ病 第五章 職場結合性気分障碍(うつ病、双極性障碍)における自殺予防」(加藤敏 2013年 金原出版)、「オックスフォード精神医学 第8章 気分障害」(平成19年 丸善株式会社)等がある。

[7] 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会の議事録や資料は厚生労働省のホームページで公開されている。

[8]豊田労基署長(トヨタ自動車)事件名古屋地裁平成13年6月13日判決(労判814号64頁)、豊田労基署長(トヨタ自動車)事件名古屋高裁平成15年7月8日判決(労判856号14頁)、玉野労基署長(三井造船玉野事業所)事件岡山地裁平成17年7月12日判決(労判901号31頁)、名古屋南労基署長(中部電力)事件名古屋地裁平成18年5月17日判決(労判 918号14頁)、国・八王子労基署長(パシフィックコンサルタンツ)事件・東京地裁平成19年5月24日判決(労働判例945号5頁)、国・中央労基署長(日本トランスシティ)事件名古屋地裁平成21年 5月28日判決(労働判例1003号74頁・判タ1310号140頁、地公災基金愛知県支部長(A市職員事件・うつ病自殺)事件(名古屋高裁平成22年5月21日判決(労判1013号102頁)、国・名古屋西労基署長(ジェイフォン)事件名古屋地裁平成23年12月14日判決(労判1045号42頁)、国・諫早労基署長(ダイハツ長崎販売)事件・長崎地裁平成22年10月26日判決(労判1022号47頁)等[9] 既往症のある労働者の自殺の業務起因性について「特別な出来事」に準じる出来事があるとして業務起因性を認めた判決として、東和フードサービス事件(東京地裁平成26年9月17日判決・労判1105号21頁)がある。