令和7年6月25日、厚生労働省が、令和6年の過労死等の労災認定状況について公表ました。
全体の状況は、以下の通りです。
過労死等に関する請求件数 4,810件 (前年度比212件の増加)
決定件数 4,312件(前年度比1,033件の増加)
支給決定件数 1,304件 (前年度比196件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 159件(前年度比 21件の増加)
脳・心臓疾患については
請求件数は1,030件で、前年度比7件の増加。
うち死亡件数は前年度比8件増の255件。
支給決定件数は241件で前年度比25件の増加。
うち死亡件数は前年度比9件増の67件。
精神障害については
請求件数は3,780件で前年度比205件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比10件減の202件。
支給決定件数は1,055件で前年度比172件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件増の88件。
これまでの傾向をグラフにしてみました。
全体の件数をグラフにしてみます。
特に精神障害の請求件数、認定件数が、上昇し続けていることが分かります。

次に認定件数だけをグラフにしてみました。

精神障害の認定件数が急増していることが分かります。特に2022年からの増加は顕著です。
認定基準は2023年9月に改訂がありました。その前からの増加率がそのまま続いています。
脳/心臓疾患はこの間、減少傾向にあったのですが、2022年から増加傾向にあります。
次に、死亡の認定件数だけをグラフにしてみました。

死亡についての認定件数は、脳/心臓疾患については減少傾向にあったのですが、2022年以降2年連続で増加に転じています。
精神障害については、横ばい状態でしたが、やはり2022年以降増加傾向にあります。
このような増加の要因は度言う言うところにあるのでしょうか。
令和3年には脳・心臓疾患の労災の認定基準の改定がありました。
令和5年には精神障害の労災の認定基準の改定がありました。
これらによって、救済の範囲が広がったので、労災の認定件数は増加傾向にあるのだ、という説明も可能かもしれません。
また、これらの認定基準の改定などにより、過労死等が労災として認められることがより周知され、請求される方、認定される方が増加傾向にある、という説明も可能かもしれません。
ただ、精神障害の請求件数の伸び率、精神障害の認定件数の伸び率をみると、認定基準が改定になる令和3年より前から増加傾向にあり、その伸び率が続いています。一方労災の認定率は減少傾向にあります。
単純に、認定基準の改定などにより救済される方が増えただけでは説明できず、脳・心臓疾患も精神障害も増加傾向にある。過労死等が増加傾向にある。そういう可能性があり、なお、分析が必要であると考えています。
私のところにも、相談に来られる方は減っていない。むしろ、一定の割合で相談があり、増加しているのではないかと感じられます。