裁判のIT化

 裁判のIT化が急速に進められようとしています。

 

 コロナ感染が拡大した2020年の当初から民事訴訟法は改正がありません。しかし、民事訴訟法には「書面による準備手続」(民事訴訟法175条)という手続きがあります。この2項には、

 

 「裁判長等は、必要があると認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、争点及び証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のため必要な事項について、当事者双方と協議をすることができる。この場合においては、協議の結果を裁判所書記官に記録させることができる。」

 

 とあります。ですから、裁判所に行かなくても、裁判はできることになっています。

 そこで、現在は、MicrosoftのTeamsというソフトを使って、音声通話で裁判の手続きを行うことが多くなりました。というより、地方裁判所の裁判は、すべてこの手続きで行っています。

 

 遠方の裁判所におこした裁判も、証人尋問のために1回だけ、じっさいに裁判所に出かけただけで、後はすべてパソコンを通じて手続きを行い、判決を得た事件もありました。

 

 労働審判事件は、口頭弁論を開く必要がないので、第1回期日からTeamsを使って行うことができます。

 裁判所に行かずに、調停を成立させることできます。

 

 この場合、依頼者の方に事務所に来ていただきます。始まるまえ、終わった後に、そのまま事務所で打合せができます。資料を広げながら、打合せができますので、裁判所へ行くより効率的です。裁判所へいくわけではないのでホームグラウンドでリラックスして参加できるのが利点です。

 

 一方で、裁判官、労働審判員と直接会って話すより、すこし距離感があるのは弱点かも知れません。

 

 現在のところ私の事務所では、ノートパソコンで対応しています。カメラはノートパソコンのカメラで十分です。マイクも十分ですが、一応、会議用のマイクを用意しています。これも、コロナの感染が広がる前からWeb会議をおこなうことが会ったので購入していたものです。当時はスカイプをつかっていましたが、今はzoomを使うことが多くなりました。

 投資ゼロで十分に会議に対応できています。

 

 今後は、書面の提出もパソコンでできるようになるように、検討が進んでいます。

 

 

 

大阪地方裁判所、大阪高等裁判所の建物
大阪地方裁判所の建物。大阪地裁の事件もより容易に対応できるようになるでしょう。