2020年9月1日、改正された労働者災害補償保険法が施行されました。
これによって、複数職場で働いていた方が、双方の仕事の過重性をあわさって脳、心臓疾患、若しくは精神障害を発病した場合には、労災保険から必要な補償がなされることになりました。
また、複数職場で働いていた方が労災認定された場合に支払われる労災保険の各種補償の基礎となる給付基礎日額について、複数職場の収入を元にして計算することになりました。
詳しい説明は厚生労働省のホームページにあります。
もともと労働基準法第三十八条は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」としているのですから、業務上外の判断や、その場合の補償についても「通算する。」のが当然の帰結と思われます。
厚生労働省は、現行制度として上記のようにこれまではそれぞれの職場単位で判断していたと説明していますが、これについては納得ができません。
いずれにしても、2020年9月1日以降については上記のように評価されるので、複数職場で働く方を守る制度が強化されたとはいえます。
一方で、複数職場での労働の過重性を、それぞれの使用者が把握する方法は、労働者の申告によるとされているようです。十分にはあくしないまま、過重な労働をしている場合には健康を害し、過労死という不幸な結果になるのですから、労働者は注意する必要があります。副業を許可する使用者側は、外の労働をしているか、どの程度労働をしているのか注意する必要があります。