賃金請求権の消滅時効が、令和2年(2020年)4月施行の改正民法と同様に5年に延長されました。といっても例外的に当面の間は3年ということになりました。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)により、使用人の給料に係る1年の短期消滅時効が廃止され、債権の時効は5年になりました。
ところで、労働基準法では、賃金請求権の消滅時効は2年となっていました。これは、民法で定められていた1年では短すぎるから労働者保護のために修正されたのです。
ところが、民法が改正され、一般的な債権の時効が5年になりました。したがって、労働基準法の2年も時代遅れ、不合理になってしまいます。
そこで、労働基準法における賃金請求権の消滅時効期間等を延長することになりました。
しかし、この法改正について使用者側が強く反対しました。そのため、当分の間の経過措置を講ずるとして、時効は3年となりました。
なお、改正になるのは、施行日以後に賃金支払日が到来する賃金請求権についてです。
つまり、今月支払われる給料から3年の時効になるのです。
今回の改正の変化が体験できるのはあと2年たってからです。
本改正法の施行5年経過後の状況を勘案して検討し、必要があるときは措置を講じることになっています。そうすると、実際に5年になるのはその先でしょうか。