過労死等防止対策推進シンポジウム 岐阜 開催されました。

 11月12日、岐阜市で過労死等防止対策推進シンポジウムが行われました。

 

 冒頭に主催者を代表して、唄(ばい)繁樹岐阜労働局労働基準部長から、開会の挨拶がありました。

 

 基調講演は松丸正弁護士。過労死弁護団全国連絡会議の共同代表をされています。

 松丸弁護士は1981年、まだ「過労死」という言葉がない時代から、この問題に取り組んでこられました。10年くらいは、まったく労災と認められなかったそうです。

 

 松丸弁護士は、過労死等を防止するために、労働基準法を守らせるという取り組みだけではたりない。36協定を守らせるだけではたりない。労働時間を適正に把握しなければならないというお話しでした。そうでなければ、長時間労働はなくならないとのことでした。

 

 さらに、松丸弁護士は、責任の所在を明らかにさせなければならない。会社の責任はもちろん、会社の中で過労死を生んだ責任が誰かまで追及することまでしなければ、過労死をなくすことができないとお話になりました。

 

 また、過労死と思われる事案でも、労災申請に踏み切れない遺族もある。労災認定が認められれば、労災から年金が支給され、厚生年金と併せれば、過労死した人が生きていたのと遜色ない収入が得られる。大切な人を亡くし、生活に不安をいただく残された家族の大きな支えになる。そのことをきちんと知らせる必要があるとお話になりました。

 

 あらためて、これまで長年過労死問題に取り組んでこられた松丸弁護士のお話は、分かり易く、重みもあるお話しでした。

 

 続いて、岐阜の3件の事案についてそれぞれ担当した弁護士から報告がありました。

 

 私、弁護士の岩井羊一から、岐阜県職員の過労自死事件の事案の内容、経過について報告しました。長時間労働と、不適切な指導があった事案です。

 

 綴喜秀光弁護士からは、岐阜市民病院の過労自死事件について報告がありました。この事案も長時間労働と不適切な指導があった事案でした。

 

 江本泰敏弁護士からは、岐阜県内の大手企業の過労自死事件について報告がありました。労災認定を受けたが、パワハラの内容がわからず、ご遺族の強い希望により、訴訟を提起したこと。大きく報道されたことで請求の認諾をうけたことなどの報告がありました。

 

 続いて、岐阜市職員の過労自死事件の原告の伊藤左紀子さんから遺族の訴えがありました。

 伊藤さんの訴えは、大切な夫を亡くした悲しみ。

 公務災害手続きに不合理さなど思いの丈をお話になりました。

 

 伊藤さんの事件の判決は12月22日。苦労が報われる判決を期待します。

 

 意見交換の時間には、多くの方が感想、意見、質問がありました。

 

 過労死をなくすためにどうしたら良いか、意見交換をしました。岐阜では、初めての厚生労働省主催の過労死等防止対策シンポジウム。

 

 岐阜で過労死に取り組む弁護士、労働組合、過労死をした方の家族の協力がなければ実現しませんでした。

 多くの方が知恵を出し合うよい会になりました。お疲れ様でした。

 

 愛知会場は11月23日。

 パワーハラスメントをなくすための方策を一緒に考えます。