労災保険法の不服申立の手続きが変わりました。

審査請求、再審査請求、提訴に関する手続が変わりました。


 平成28年4月1日、行政不服審査法の改正法が施行され、これにともない労災保険法の改正も施行されました。

 

 過労死、過労自殺などの事案で、審査請求、再審査請求により判断が覆る例は大変少ないのです。

 

 これからは、労働基準監督署長の判断に対する不服申立や、提訴がやりやすくなると考えられます。


不服申立手続の変更


従前の手続

これまでは

 

労働基準監督署長 不処分決定

  ↓

審査請求(労働者災害補償保険審査官)

  ↓

再審査請求

(労働保険審査会)

  ↓

裁判所への提訴 .

これからの手続

これからは、

 

労働基準監督署長 不処分決定

       ↓

審査請求(労働者災害補償保険審査官)

 ↓  (どちらか選べる) ↓      

裁判所への提訴  再審査請求

         (労働保険審査会)

              ↓

         裁判所への提訴 .


 審査請求が認められなかった場合に、裁判をするか、再審査請求をするのか選べることになります。再審査請求を選んでそれが認められない場合には提訴することができます。

 行政手続きの中には行政の処分に対し、直ちに提訴できるものもありますが、労災保険法にもとづく手続きについては、裁判所の負担も考えて、不服申立前置とされています。

審査請求人等による物件の閲覧


 これまで、審査請求の段階では、労働基準監督署長の収集した資料の閲覧、謄写はできず、個人情報の開示の手続きによるほかありませんでした。これでは、肝心な会社関係者の聴取書の内容を見る事ができませんでした。

 今回の手続きの改正により、審査請求人は、審査官に対し、提出された文書その他の物件の閲覧又は当該文書の写しの交付を求めることができるようになりました。

 

審査請求期間の延長


審査請求ができる期間はこれまで60日でしたが3か月に延長されました。