2016年4月21日、名古屋高等裁判所は、2015年3月の名古屋地方裁判所判決を取り消し、公務災害を認める旨の、1審原告の勝訴判決をしました。
この事件は、名古屋市交通局に名古屋市営バスの運転士として勤務していた男性が、2007年6月に、自殺を図り、死亡した事件です。
一審では、原告の請求を退けていました。高等裁判所では証人調べはありませんでした。
そのためどのような結論になるか注目していました。
高裁判決は、「被災者が自死の直前に精神疾患を発症したのは、このような職場環境の下においてであること、本件添乗指導、本件苦情、本件転倒事故の3つの出来事が僅か4か月という短期間に発生していること、殊に、本件転倒事故に関与していないと認識していた被災者において、S及びTによる事情聴取を経て、本件転倒事故に関する警察官の取り調べを受け、実況見分に立ち会うことは、その認識と矛盾する対応をせざるを得なかったという意味で、大きな心理的負荷となったと考えられること等を考慮すれば、被災者がこれらの出来事から受けた負荷は、平均的労働者にとっても強い精神的負荷であったと考えられる。」と判示しました。
お父さんの亡くなってから9年になるがんばりに、ようやく正当な評価がなされました。