2014年の過労死の労災補償状況

1 過労死等の動向

 厚生労働省によると、平成26年度の「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」については、次の通りです。

 

 請求件数は763件で、前年度比21件の減。3年連続で減少しました。死亡についての請求件数は、242件で、これも前年度から41件減少しています。支給決定件数は277件(前年度比29件の減)で、2年連続で減少しました。認定率は43.5%で昨年より低くなっています。死亡については121件が認定支給されています。認定率は49.4%で、前年よりわずかですが認定率は高くなっています。

 

 同じく、「精神障害に関する事案の労災補償状況」は、次の通りです。請求件数は、1456件で、前年度比47件の増となり、過去最多の昨年を更に上回りました。支給決定件数は497件(前年度比61件の増)で、過去最多です。認定率は38.0パーセントで昨年より少し高くなりました。このうち自殺(未遂も含む)についての請求件数は213件で、そのうち支給決定件数は99件。認定率は47.1パーセントです。支給決定件数は過去最高、認定率も過去最高です。

 

 自殺の請求件数、認定件数はほぼ横ばいですが、昨年は動きがあったように思えます。平成23年に認定基準が変わりその直後の平成24年度は認定件数が93件と上昇し、認定率も45.8%と増加し、平成25年は一旦下がったのですが、平成26年は、平成24年を上回りました。

 

 参考

 平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表

 

2 自殺者の動向

 ところで、警察庁の自殺の統計によると、平成26年中における自殺者の総数は25,427人で、前年に比べ1,856人(6.8%)減少しました。このうち、勤務問題が理由であるとしたものが2,227件あります。

  参考

 警察庁 ホームページ


3 分析

 警察庁の統計をみると、勤務問題が理由で自殺した人は全国で2、227件もあるにもかかわらず、自殺の労災申請をした件数は213件しかありません。全体の10パーセントしか労災申請に至らないということになります。(公務員もいますか、公務災害請求した死亡事案は平成25年度全部で38人ですから、ほぼ間違いがないと考えられます。)認定数は過去最高とはいえ99件しかありません。

 

 

 

 多くの自殺の場合には、労災申請すらしていないのではないかと考えられます。ただ、世の中のみなさんに、自殺は労災ですよ、申請してみましょう、とどんどん宣伝すれば、申請数も、認定数も増加するかといえば、そうではないと考えられます。

 

 もちろん、徐々には増加するはずですから、このような相談活動、相談窓口を知らせる活動を地道に行っていく必要はあります。

 

 しかし、亡くなった遺族は、さまざまなことを考慮の上で、労災申請をする、しないを選択しています。職場との関係、自分の現在の状況、自殺の原因。制度全体が大きく変わらないにもかかわらず、申請件数、認定件数は大きくかわるという展望は持ちにくいものです。(できる限り相談していただきたいと願っています。)

 

 申請数が大きく増加したのは、平成11年の精神疾患の判断指針が出されたとき、そして、平成13年の脳・心臓疾患の認定基準が改定されたとき、そして平成23年に精神障害の認定基準が出されたときです。

 今後も本当に「過労死」と認定すべき事案を認定させるためには、認定基準を適正なものに変えていく必要があります。