ノーモアヒバクシャ愛知訴訟

 広島、長崎で原爆が投下されて今年2015年で70年が立ちました。70年たっても原爆の影響で苦しんでいる方がいます。この愛知にも、広島、長崎で被爆した方がたくさんおられます。

 これらの方が、いま裁判を闘っています。ノーモアヒバクシャ訴訟です。

 

 どんな裁判かというと・・・。

 「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」という法律があります。

 

 この法律には前文というのがあって、(前文などない法律がほとんどです。)


 昭和20年8月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾という比類のない破壊兵器は、幾多の尊い生命を一瞬にして奪ったのみならず、たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした。
 このような原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者の健康の保持及び増進並びに福祉を図るため、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律を制定し、医療の給付、医療特別手当等の支給をはじめとする各般の施策を講じてきた。また、我らは、再びこのような惨禍が繰り返されることがないようにとの固い決意の下、世界唯一の原子爆弾の被爆国として、核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の確立を全世界に訴え続けてきた。
 ここに、被爆後50年のときを迎えるに当たり、我らは、核兵器の究極的廃絶に向けての決意を新たにし、原子爆弾の惨禍が繰り返されることのないよう、恒久の平和を念願するとともに、国の責任において、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国として原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記するため、この法律を制定する。

 

 良いことが書いてあるのです。

 

 そして、その第10条には、次のような定めがあります。

 

 第10条 厚生労働大臣は、原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者に対し、必要な医療の給付を行う。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射能に起因するものでないときは、その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る。

 

   制度の説明は厚生労働省のホームページにあります。

 ところが・・・。

 この「原子爆弾の傷害作用に起因して」に当てはまる人がとても少ない。

 

 このため国を相手に裁判をして認定を勝ち取った方がいました。長崎で被爆した松谷さんなど。

 

 しかし、国は裁判で負けても、認定基準を変えませんでした。

 

 全国の被爆者がたちあがりました。「原爆症認定集団訴訟」として、全国の被爆者が訴訟を提起しました。

 全国の裁判所は、被爆者を勝たせました。

 厚生労働省の認定基準も変わりました。新しい審査の方針

 集団訴訟は国と話し合い解決しました。

 

 けれども、この新しい審査の方針でも「原子爆弾の傷害作用に起因して」といえないとして、医療費を払ってもらえない人がいました。そのため再び裁判を提起したのです。

 

 これが、ノーモアヒバクシャ訴訟です。東京、大阪、広島、岡山、熊本など各地で行われています。

 

 愛知では、この2015年7月15日から17日まで3日連続の証人尋問が行われます。認定を求める原告、認定をするべきであるという医師、そして、原爆の影響が明らかだと述べる物理学者の尋問です。さに正念場。名古屋地方裁判所第1号法廷です。

 

 原爆投下から70年。被爆者の方は70年+αの年齢の方ばかりです。時間がありません。

 是非、よい判決を。そして、更なる認定基準の変更を求めていきたいです。

 

 私は微力ですが、弁護団は若手を中心に頑張っています。

 

 参考  ノーモアヒバクシャ訴訟 東京 東友会