臨床法学教育学会というものに参加しました。今回は名古屋での開催であったために参加しました。
この4月に、愛知学院大学法科大学院の教授となった関係で、愛知法曹倫理研究会に参加をさせていただきました。
その関係で名古屋大学の森際康友教授のお誘いで、「離婚をめぐる技術と倫理―法曹の中核的価値が問われる現場から―」の発表に参加しました。司会として、報告者とのパネルディスカッションを行い、離婚についての倫理と技術について討論をしました。
弁護士職務基本規定を通し、弁護士が離婚事件でしなければならないこと、考えなければならないこと、してはいけないことを考えると、難しい場面に直面することになります。
特に、子どもの福祉を考えなければならない親権の争い、面会交流の実施については、難しい問題があります。弁護士は、通常、親の代理人として、依頼者の親を通じて子供の福祉を考えるほかないのですが、その依頼者の親が考える子どもの福祉と、本来の子どもの福祉が違っていると感じる場合に、弁護士がいかなる立場に立つべきか。
弁護士は、常に、いくつかの矛盾するような弁護士職務基本規程の内容をよく理解し、適切に対応しなければならないのですが、難しい問題に直面することがあります。
これに加えて、離婚については、弁護士が、法律や、一般的な弁護士職務基本規定を知っているだけでなく、男性、女性のものの見方の違い、子どもの養育についての知識、依頼者と円滑に話を進める対話能力を備えていなければならないことを感じました。
私たち弁護士は、弁護士集団として、より市民に対し高度な技術を提供するように、そして、自分たち弁護士に対する信頼を維持するためにその倫理を極め、研鑽をつまなければならないと改めて身を引き締めました。
午後のシンポジウム「法曹の中核的価値と法科大学院教育の役割」では、法科大学院にかかわる研究者教員と、実務家教員が、法律的な知識だけでなく、より高度で豊かな発想と感覚をもつ実務家を育てようと理想に燃えていることと、その現実の苦悩を感じました。