映画「約束 名張毒ぶどう酒事件死刑囚の生涯」上映会 報告 

稲生昌三
お話しをされる稲生昌三さん

 本日、国民救援会熱田支部主催の映画「約束 名張毒ぶどう酒事件死刑囚の生涯」の上映会を行いました。

 おかげさまで、125名の方に来場いただき、盛況でした。ご来場いただいた皆さん ありがとうございました。

 

 

始まる前は何人くら集まっていただけるのか。ほとんど来てくれないのではないか、と心配でした。

心配は杞憂でした。

会場には合計125人の方が集まっていただきました。


上映会の看板 手作りです
上映会の看板 手作りです


私も、改めて皆さんと一緒に映画を見ました。

 

 映画は、無罪の奥西勝さんが、なぜ、今まで「死」の恐怖を感じながら、身体を拘束され続けなければならないのか。厳しく問いかけます。

 

 涙が出そうになったのは、奥西さんと特別面会人の川村さんが初めて面会する場面。そして、再審請求が認められなかったのに、奥西さんが、接見室で、川村さんと鈴木弁護士に、まだ、弁護を続ける、応援を続けるといわれ、「これはうれし涙です。」と言いながら奥西さんが泣く場面。そして、再審開始決定を知り、川村さんと奥西さんが面会室でガラス越しに握手をするシーン。

 

 奥西さんを演じる仲代達矢さんと、川村さんを演ずる天野鎮雄さんの演技は、そのときのことをそのまま再現されているように思わせます。

 ドラマを通じて、この映画を作っている人、演じている人の奥西さんは無実だという思い。そして、それを受け入れようとしない裁判所への怒りが伝わってきました。

 

 鈴木泉弁護士の外、愛知県の弁護士そして全国の弁護士からなる名張弁護団の活動が紹介されました。王冠複製し、ニッカリンTを探し、地道な努力と緻密な議論で、裁判所を詰めていく経過も紹介されています。裁判所の積み重なる再審を認めない決定への怒り。再審決定が認められたときの喜び、それを更に覆されたときの怒り。共有できた気がしました。

 

 35歳の若き鈴木泉弁護士が、年月を経て、髪の毛も薄くなっていく(失礼)ところに、時間の経過を感じました。あの、再審開始決定(のちに取り消され、最高裁で確定してしまう。)から、もう10年もたったのかと思いました。鈴木泉弁護士のそのときどきのコメントは、ドラマではなく、そのときにほんとうに発せられた心からのものですので、聞く人に迫ってきます。

 

稲生昌三さん
奥西勝さんのことを語る稲生昌三さん

 映画が終わってから、奥西勝さんの特別面会人の稲生昌三さんから、現在の奥西さんの様子についての報告がありました。

 

 奥西さんは、名古屋拘置所にいましたが、現在は体調が悪くなり、八王子の医療刑務所にいるそうです。

 

 奥西さんは、今は話ができない状態で面会時間も5分しか認められないそうです。奥西さんは、手で字をかいて、知らせようとしたのですがなかなかわからないそうです。簡易なホワイトボードに書いてもらおうとしたところ、面会の範囲外と言われたとのことです。稲生さんは、奥西さんを人間らしくも扱わない拘置所の対応に怒っていました。

 

仲代達矢さんの手紙 稲生昌三
仲代達矢さんの奥西勝さんへ宛てた手紙をみせて読み上げる稲生昌三さん

 稲生さんは、仲代達矢さんの奥西さんに宛てた手紙を紹介してくれました。仲代さんが、無実を確信していると、奥西さんを励ます手紙です。しかし、この手紙の原本は、稲生さんの手元にあります。差し入れを認められないからです。やむを得ず、稲生さんが内容を口頭で教えたそうです。

 

 稲生さんは、いまも、奥西さんに面会して、ご本人を励ましし続けています。

 その活動を支えるためにも、カンパ。署名。それから、この映画の原作本

 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀

をぜひ購入してほしいとのことです。


 署名は国民救援会のホームページからダウンロードできます。

 

稲生昌三
奥西勝さんの様子を語る稲生昌三さん

 今回の上映会は、国民救援会熱田支部の主催で行いました。

 

 映画を見たほとんどの人が、大変よかった、こののような上映会を、たくさんやって欲しいと、アンケートに書いていただきました。

 多くの人に知ってもらいたいと思いました。

 

 映画「約束」の公式ホームページによると、次回は2015年5月16日(土) 10:20 / 14:10

 兵庫県明石市の明石生涯学習センターのようです。

 

 ぜひ奥西さんが生きている間に再審開始決定を。