新聞やテレビの報道によると、10月17日、熊本地方裁判所で、熊本の地元銀行の40歳の銀行員が自殺した事件で、銀行に損害賠償の支払を命じる判決がされたとのこと。
報道によれば、裁判所は、死亡する前の1か月間で200時間を超えていて、銀行は男性の勤務が長時間になっていることを認識できたにもかかわらず対応を怠ったと指摘したとのことです。
精神疾患の認定基準は、一か月160時間を超える時間外労働をして、精神疾患に罹患した場合には「・発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合」で「極度の長時間労働」があったとし、業務上であることを認めるとしています。極度の長時間労働、例えば数週間にわたる生理的に必要な最小限度の睡眠時間を確保できないほどの長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となると考えられるからです。
私は、こんな高いハードルを設けて、認定されるのを妨げているのか,と思っていましたが、現実にこれを超える時間外労働をさせていたというのは驚きです。
これも報道によればですが、銀行は、自殺との因果関係を争っていたが、今年に入ってから因果関係を認めていたようです。また、控訴しない方針だと報道されています。このように過去の非をみとめて、判決に従うとした対応自体は、良いとおもいます。それにしても時間外労働200時間とは、長いにも程があります。
原告で亡くなった男性の妻は、記者会見で、「判決が出ても夫のいる元の生活が戻ってくることはありません。どの会社も従業員を大切にして同じようなことが起こらないようにしてほしい」とコメントしたそうです。ほんとうにその通りです。