専門について

 弁護士は、「専門」と名乗ってはいけないと言われてきました。その根拠を改めて確認しました。

 

 日本弁護士連合会の「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」では「専門」について、次のように指摘されています。

 

 専門分野は,弁護士情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。しかし,現状では,何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。 弁護士として一般に専門分野といえるためには,特定の分野を中心的に取り扱い,経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解される。ところが,専門性判断の客観性が何ら担保されないまま,その判断を個々の弁護士にゆだねるとすれば,経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる。

  したがって,客観性が担保されないまま「専門家」,「専門分野」の表示を許すこと は,誤導のおそれがあり,国民の利益を害し,ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから,現状ではその表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用も同様である。
 なお,現実に「医療過誤」,「知的財産関係」等の特定の分野において,「専門家」と いうに値する弁護士及び外国法事務弁護士が存在することは事実である。しかし,弁護士間においても「専門家」の共通認識が存在しないため,日本弁護士連合会の「専門」の認定基準又は認定制度を待って表示することが望まれる。

 

 「経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる。 」この弊害のおそれを残したまま、自称専門家を許すような制度では、かえって弁護士全体が信用されなくなります。

 けれども、市民の皆さんには、分かりにくいですね。私たちが乗り越えないと、弁護士全体が市民の皆さんから信用されなくなることも心配です。

 とりあえず、自分の依頼者に信頼してもらうように、しっかり仕事をするしかないと思っています。