労働災害にあったら


   労働者が仕事によって死亡したり、負傷したり、病気になった場合には、労災保険で補償を受けることができます。雇用主に手続きをしてもらうことが通常です。この場合、労働基準監督署(正確には労働基準監督署長に)に治療費及び休業した場合の休業補償の請求ができます。

 

 後遺障害が残った場合には、一時金の支給が受けられます。後遺障害が重い場合、具体的には後遺障害認定の等級が7級以上の場合には、年金の支給が受けられます。

 後遺障害の等級と、一時金、年金の支給額は下記の厚生労働省のホームページの等級表をご覧ください。

 

 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken03/

損害賠償


 労災になった場合に、使用者に過失があった場合には、労災保険の限度をこえる損害について、使用者に対し、損害賠償請求ができます。

 

  労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定めています。

 

 労災事故のうち、この安全に配慮する義務に違反している事故について損害賠償請求ができます。


損害賠償の請求できる損害


 治療費

  治療費は、労災保険で補償されます。

 

 休業補償

  休業損害も労災保険で平均賃金の80%までは補償されます。しかし、会社に責任がある場合には、会 

 社の責任で仕事ができず、休業を余儀なくされたことになりますから、のこりの20%も会社に請求でき

 ることになります。

 

 慰謝料

  負傷をして入院したり、通院したりした期間については、負傷をして痛い思いをしてます。そのような

 ものも金銭に換算して損害として請求することができます。慰謝料といいます。

  慰謝料の金額は、交通事故の場合に準じて算定することが一般的です。

 

 後遺障害が残った場合

 後遺障害が残った場合には、後遺障害の等級に応じて後遺障害の逸失利益、後遺障害の慰謝料を請求することができます。

 

会社側の対応と対応策


誠意のある対応がある場合


 使用者が、労災手続きに協力し、さらに謝罪して、労災補償で不十分な慰謝料などについても支払を申し出る場合もあります。(本来過失がある場合にはそのように誠意のある対応をするのが使用者のあるべき姿です。)

 

 民間の損害保険のなかには、このような場合の上乗せ補償を支払うための損害保険があります。使用者がこのような保険に加入している場合もあります。落ち度を認めた上で、保険会社の審査を経て、保険で賠償を支払うという対応が考えられます。その場合は、よく話し合って早期に解決ができるとよいと思います。

 

 使用者が誠意を持って対応している場合にも、弁護士に相談して、使用者側が提示した責任の内容、金額は相当かどうか意見をきいて解決をすることが良いでしょう。

損害賠償金は支払わない、責任がないと主張する場合


 使用者が労働災害であることを認めて労災手続きには協力するものの、過失がないとして、損害の賠償を拒むことがあります。

 その場合には、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

 労働者側に大きな過失があり、損害賠償請求までは困難な場合もあります。

 しかし、労災事故の場合、会社側で安全に配慮していれば防げたと考えられる場合もあります。労働者側に過失があったとしても、その内容は軽微で、法律的には損害を賠償する責任がある場合もあります。

 会社側から何も申し出がなかったり、申し出があっても損害賠償には応じてもらえない場合、弁護士に相談した上で、検討をしてみてはどうでしょうか。

 弁護士に依頼して交渉をしてみることもできます。

損害賠償責任を認めるが減額を求めてくる場合


 使用者が、労働災害であることは認めて労災手続きには協力し、過失を認めて賠償には応じる姿勢を見せつつ、法的な理由で減額を求めてくる場合があります。

 大きく2つの主張が考えられます。

 一つは、過失相殺、過失相殺類推適用を主張すること。つまり、労働者側にも落ち度があって負傷したことだから、損害賠償の額を減額するように求めること。

 もう一つは、負傷の程度や、後遺障害の程度を争い、損害賠償額がそれほど多くないと主張するもの。

 これらの主張は、全面的に損害を争い、訴訟になったあとに、相手方からでてくる主張でです。

 労働災害は交通事故と異なり過失の割合も千差万別。弁護士に相談していただき、具体的な状況を踏まえて相手と交渉していくことになります。

 この認識に差がある場合には裁判でそれぞれの主張をし尽くして判断を仰ぐほかないでしょう。

労災にも協力してもらえない場合


 会社が、労災なのに手続きに協力しないので健康保険で治療を受けている。会社が、治療費を実費で支払う代わりに労災保険は使用しないようにいう。会社が労災保険に加入していないといって一切労災手続をしない。

 こんな相談を受けることもありますが、このような会社の対応は違法です。本来健康保険は使えないはずです。また労災保険は、人を雇用することで法律が成立させる保険であり、「労災保険に入っていない」という説明も不正確です。正確には、届け出、保険料の納付をしていないだけです。労働者は、会社が、労働基準監督署に届け出や保険料納付をしていなくても労災保険の請求をすることができます。

 会社が労災保険手続きをしてもらえない場合、労働基準監督署に相談してください。また、弁護士に相談していただければ、会社と交渉したり、労基署への相談に同行することもできます。